第一章: 運命のコンペ直前の密着と焦燥
遮音壁に閉じ込められた空気が、張り詰めた弦のように重く軋んでいる。
空調の効きすぎた冷え切った控室の中で、一条玲香は手汗を吸い込ませるように指先をきつく握りしめた。
きっちりと結い上げた漆黒の夜会巻きに、一切の皺を許さない洗練されたダークネイビーのパンツスーツ。
銀縁眼鏡の奥で切れ長の瞳を微かに伏せ、乾ききった喉を小さく鳴らす。
一条 玲香「……完璧よ。数字の齟齬もない。私の仕事に、妥協の二文字は存在しないのだから」
強がりを呟き、唇を噛む。その強張りを嘲笑うかのように、すぐ背後から湿り気を含んだ低い声が滑り落ちてきた。
神崎 湊「……一条先輩の完璧な姿、もっと至近距離で見せてくださいよ」
背筋が跳ねる。
程よく着崩したスリムスーツを纏う神崎湊が、足音すら殺して間合いを完全にゼロへと詰めていた。
人当たりのいい後輩の笑みを脱ぎ捨てた彼の細い指先が、玲香の白いうなじへ、撫でるように滑り込む。
一条 玲香「な、何を……っ、神崎、離れなさい……っ」
神崎 湊「指先、凍りついてますよ。……先輩のその無駄な緊張、僕が全部解きほぐしてあげます」
耳の裏へと吹きかけられる、生々しく熱い吐息。
玲香の膝からすっと力が抜け、抗う間もなく神崎の硬い胸板へ背中を預けてしまう。
大きな掌が細い腰を強引に抱き寄せ、もう一方の手がスーツのスラックス越しに、膝裏から太腿の付け根へと這い上がった。
♥ドクン、ドクンと跳ね上がる鼓動[/Heart]が、薄い布地を越えて直接背中に伝播する。
耳たぶを舌先で挟み込まれ、甘くねっとりとした唾液の感触が皮膚を濡らした。
一条 玲香「ん、ぁ……っ、声が……外に漏れる……っ、やめなさい……っ!」
神崎 湊「声、必死で我慢してくださいね。先輩の熱い吐息、一滴残らず僕が吸い取ってあげますから」
神崎の指がジャケットの内側へと潜り込み、薄いシルクブラウスを押し上げて、熱を帯びた肌を直接弄ろうとしたその瞬間。
カチャリと、控室の重厚な金属製ドアノブが無機質に回転した。
第二章: ガラス越しの沈黙と波打つ官能

神崎は玲香の細い躰を乱暴なまでに引き寄せ、審査会場とを隔てる大型マジックミラーの死角へと押し込んだ。
直後、隣室の重い扉が開き、床を軋ませる革靴の足音が響く。
グループの絶対権力者である鷹野重蔵が、仕立ての良いスーツの裾を揺らしながら中央の革張り席に着いた。
鷹野 重蔵「ふむ……時間前だが、準備は進んでいるか」
ガラスの向こう、わずか二メートルの距離に絶対的審査員が存在している。
息が止まる。見つかれば破滅。玲香は戦慄し、唇を強く噛み締めた。
その震える唇を、神崎の分厚い掌が背後から無慈悲に覆い塞ぐ。
神崎 湊「しー……っ。少しでも身じろぎしたら、あの人に全部見られちゃいますよ」
退路を完全に断たれた玲香の胸元へ、熱を帯びた指先がブラウスの隙間から深く侵入する。
下着のレースを強引にずらし、敏感に尖った突起の先端を指腹で挟み込み、じわりと強い圧がかけられた。
一条 玲香「んん……っ! ぷは……っ、やめ……神崎、お願いだから……っ」
声にならない懇願の呼気が、神崎の掌を湿り気と熱気でぐっしょりと濡らしていく。
スラックスの隙間から滑り込んだ長い指先が、ショーツのクロッチを強引に割り込み、濡れそぼった秘められた花芯を直接弾いた。
ビクンと玲香の背筋が弓なりに反り返る。
くちゅ、と濃密な水音が、張り詰めた静寂の死角で小さく爆ぜた。
ガラス一枚隔てた先で、鷹野が資料をめくる乾いた紙擦れの音が無情に重なる。
見つかれば全てが終わる……社会的抹殺……なのに、奥底を穿つ熱い刺激が止まらない……!
神崎 湊「一条先輩、ここ……指が沈むくらい濡れてますよ。僕の指を、こんなに締め付けて……」
ぬちゅ、と粘着質な水音を立てながら、指先が狭い襞の奥深くまで侵入し、蠢きを一段と速める。
玲香の瞳から零れ落ちた涙が、銀縁眼鏡のレンズを静かに濡らし、快楽の波が理性を強烈に削り取っていった。
その瞬間、隣室からマイクの鋭いハウリング音が鼓膜を打った。
鷹野 重蔵「一条君、準備はできたかね?」
第三章: 究極の恍惚と大逆転のプレゼン

鷹野の無機質な呼びかけと同時に、神崎の指が最も敏感な最奥の柔肉を抉るように激しく突き上げられた。
閃光のような快楽が、玲香の脊髄から脳天へと突き抜ける。
一条 玲香「ん、ああっ……ぅ、ふぁ……っ!!」
漏れ出しかけた叫びの全てを神崎の熱い口唇が塞ぎ、貪るように飲み干した。
♥激しい痙攣[/Heart]が下半身を支配し、玲香は全身の力を奪われながら極限の絶頂へと堕ちていく。
視界が激しく明滅し、押し寄せる熱の津波が、張り詰めていた恐怖と重圧を完全に融解させた。
鷹野の足音がマイクへ近づく僅かな合間に、神崎が静かに身を離す。
手慣れた動作で乱れた夜会巻きを整え、ジャケットの襟元と眼鏡の位置を寸分の狂いもなく直した。
神崎 湊「完璧ですよ、一条先輩。最高のあなたを見せてきてください」
玲香は冷え切った控室の扉を力強く押し開き、スポットライトが降り注ぐ中央ステージへと踏み出した。
銀縁眼鏡を指先で押し上げた玲香の面差しに、先ほどまでの怯えや迷いは一片も残っていない。
快楽に紅潮した頬と、潤みを帯びた切れ長の瞳が、圧倒的な気品と獲物を狙う獣のようなカリスマ性を放っていた。
一条 玲香「大変お待たせいたしました。これより、新規事業計画の説明を開始いたします」
凛とした涼やかな美声が、巨大なホールの隅々まで鋭く染み渡る。
完璧に構築された論理、淀みのない弁舌、そして審査員の視線を釘付けにする妖艶な自信。
予定時間を一秒たりとも違えずプレゼンを締めくくった瞬間、鷹野が重厚な身体を持ち上げ、力強く両手を打ち鳴らした。
静寂を打ち破り、会場を揺るがす万雷の拍手。
鷹野 重蔵「素晴らしい! 事前に届いた資料を読んだ時から確信していたが、これほど熱量と説得力に満ちた説明は初めてだ。この事業は君たちに一任する」
早くから入室していたのは威圧するためではなく、彼女の完璧な成果を誰よりも早くこの目で賞賛するためだった。
鳴り止まぬ賛辞と歓声の中、演台の脇に控えていた神崎が歩み寄り、耳元へ唇を触れんばかりに寄せる。
神崎 湊「プレゼン大成功ですね。……次の契約報酬は、二人きりの部屋で、朝までたっぷりいただきます」
玲香は眼鏡の奥の鋭い瞳を細め、濡れた唇の端を妖艶に持ち上げた。
一条 玲香「ええ、望むところよ。私の仕事に、妥協は一切許さないのだから」