第一章: 雨の温室
冷たい秋の雨。灰色の空から降り注ぐ、無数のアスファルトの針。海風が混じった錆びた鉄の匂いが、古い洋館の冷気をより一層鋭利に研ぎ澄ます。
窓辺に立つ澪の足元には、すきま風に揺れる真紅の絨毯。透き通るような白い肌。濡れたガラスに額を押し当てた彼女の、切り揃えられた黒髪のボブが微かに震える。漆黒の瞳の奥、雨粒の反射が放つのはひどく冷たい光。
[Sensual]
視線の先。別棟の硝子張りの温室の中で、蠢く二つの獣の肉体。
[A:蒼真:興奮]「……あぁ、いいぞ。もっと啼け」[/A]
上質なガウンをはだけさせた夫・蒼真。その冷たい三白眼が湿り気を帯びている。彼の下で身をよじるのは、派手な巻き髪を振り乱した幼馴染の紅葉。真紅のドレスは腰まで捲り上げられ、毒々しい赤いルージュから下品な喘ぎが漏れ出た。
[Pulse]ドクン、ドクン[/Pulse]
澪の耳の奥で鳴る、薄い硝子がひび割れるような甲高い音。
ひどい渇き。冷え切った指先が、己のネグリジェの裾を無意識に握りしめる。視界が雨だれに歪む中、ゆっくりと自らの太腿の間に這わせる白い指。
[Think]ああ、なんて惨め。なんて……美しい裏切り。[/Think]
[Whisper]「……うっ、ぁ……」[/Whisper]
冷たい指が、熱を帯びて濡れそぼった己の『秘蔵の蕾』へと沈み込む。水音を立てて柔らかな花弁を弾き、夫の裏切りを眼窩に焼き付けながら、澪は背中を反らせた。[Heart]
裏切りの光景。それが下腹部の奥底で、ドロドロとした熱に変わる。
[/Sensual]
硝子越しに交わる二人を見つめ、澪の唇の端が三日月のように吊り上がる。
[A:澪:狂気]「かわいそうなあなた。でも大丈夫、私がずっと愛してあげるから……」[/A]
[FadeIn]生暖かい狂気[/FadeIn]が、彼女の脳髄を静かに、だが確実に浸食し始めていた。
◇◇◇
第二章: 泥の快楽
翌日の午後。温室の裏手に立ち込める、土と青草が腐敗したような濃厚な匂い。
[A:黒鉄:冷静]「……お嬢様が、俺なんかに何の用ですかい」[/A]
泥に汚れた作業着を纏う庭師の黒鉄。無造作に伸びた髪の奥から、鋭い視線を射る。胸元の開いたシャツから覗く日焼けした厚い胸板。そこには赤黒い火傷の痕が深く刻み込まれていた。
澪はワンピースの裾をつまみ、泥濘む地面を厭わずに彼へと歩み寄る。
[A:澪:冷静]「私を、あの人たちの地獄への道案内に使って。その代わり……」[/A]
彼女の白い指が、黒鉄の泥まみれの太い腕に触れる。
[Sensual]
その夜、洋館の暗い使用人部屋。
[Shout]「っ、あぁぁ……!!」[/Shout]
分厚く粗野な指先が、澪の繊細な『真珠』を容赦なく抉り開く。土と汗の匂いが混じった黒鉄の雄々しさが、今まで蒼真が触れたことのないような野蛮な力で、彼女の『濡れた洞穴』を激しく蹂躙する。
[A:黒鉄:興奮]「あんたの綺麗ごと、俺が全部泥まみれにしてやるよ……!」[/A]
[A:澪:狂気]「もっと……もっと汚して……あの人が二度と触れられないくらい……っ!」[/A]
弓なりに反り返る背中。乱れ散る澪の黒髪。足の指が極限まで縮こまり、シーツを掻き毟る。口の端から透明な涎がツーッと垂れ落ちるのも構わず、彼女は白目を剥きそうになるほどの快楽に脳髄を焼かれていた。
[Tremble]ガタガタと震える肉体[/Tremble]。
高貴な女を底辺に引きずり下ろす黒鉄の欲望。夫への当てつけという歪んだエクスタシー。太い『熱き楔』が最奥を激しく打つたび、澪は声なき絶頂に幾度も打ち震える。
[/Sensual]
窓の外で轟く雷鳴。
[Flash]閃光[/Flash]が部屋を白く染め上げた瞬間、黒鉄の肩越しに鏡を見た澪の瞳孔。それは異常なほどに大きく見開かれていた。
復讐のための手駒。そう思っていたはずの計画に、決定的なズレが生じようとしている。まだ誰も、その深淵を知る由もない。
◇◇◇
第三章: 歪んだ箱庭
三日三晩、止むことなく降り続く雨。
温室の陰に身を潜めた澪の鼓動が、静かに、そして不気味に跳ねる。紅茶の冷めたような渋い匂い。それが雨気と共に鼻腔を掠めた。
[Sensual]
[A:蒼真:狂気]「あいつが……澪が、この事実に気づいて絶望で泣き崩れる顔を想像するだけで……ゾクゾクする」[/A]
スーツを着崩した蒼真の口から漏れる、おぞましい歓喜の囁き。
[A:紅葉:興奮]「本当に惨めねぇ、あの女。あなたのものは、最初から全部私のものなのよ」[/A]
紅葉のねっとりとした甘い声が絡みつく。だが、蒼真の三白眼には紅葉への愛情など微塵も映っていない。ただ、純真な妻が穢され、崩壊していく様を夢想するだけの、異常な加虐嗜好。
[/Sensual]
[Impact]真実[/Impact]。
蒼真は紅葉を愛していない。紅葉もまた、澪への一方的な怨嗟から『奪う』という行為に酔っているだけ。
温室の壁に背を預け、自らの口元を両手で覆う澪。
[Think]ああ……なんてこと。彼は私を愛しているからこそ、壊したいのね。[/Think]
[Tremble]喉仏が上下し、肩が小刻みに震える。[/Tremble]
腹の底からこみ上げる、煮えたぎるような歓喜。
[A:澪:狂気]「だったら……私が、あなたを完全に壊してあげる」[/A]
夫の愛を取り戻す? そんな些末なことはどうでもいい。彼の精神を根底から叩き割り、永遠に自分の足元で這いつくばるだけの廃人に変える。それこそが、究極の所有。
[Pulse]ドクン、ドクン、ドクン[/Pulse]
澪の漆黒の瞳に灯る、深い狂気の炎。暴雨の音が、彼女の決意を祝福するかのように激しさを増す。明日、すべてを終わらせる狂宴が始まる。
◇◇◇
第四章: 狂気の晩餐会
地下室の重い鉄扉が閉まる音。冷たい石壁への反響。
埃とカビの匂いが充満する薄暗い空間。椅子に縛り付けられた蒼真と紅葉が、驚愕に目を見開く。
[A:蒼真:驚き]「み、澪……? なんだこれは、ふざけているのか!?」[/A]
[A:紅葉:恐怖]「やめなさいよ! 早く解きなさい!」[/A]
スーツは乱れ、紅葉の派手な巻き髪も今や無惨に崩れている。
冷ややかな微笑を浮かべ、二人の前に立つ澪。その背後には、沈黙を保つ黒鉄の巨大な影。
[A:澪:冷静]「ふざけてなどいないわ。あなたが望んだ通り……私が壊れる姿を見せてあげる」[/A]
[Sensual]
自らの手で肩紐を下ろす澪。豊満で形の良い胸の双丘が、冷たい空気に晒される。
[A:蒼真:絶望]「おい……やめろ……黒鉄、貴様ぁ!」[/A]
蒼真の制止を無視し、黒鉄の泥に塗れた太い腕が澪の細い腰を抱き寄せる。
[Shout]「見ろよ、あんたの嫁のいやらしい顔をな!!」[/Shout]
黒鉄の粗野な唇が澪の首筋に噛みつき、鋭い牙を立てた。
[Whisper]「ああっ……黒鉄、いいわ……もっと、あの人の前で私をめちゃくちゃにして……っ!」[/Whisper]
極限の陵辱劇。
黒鉄の『猛々しき熱』が、容赦なく澪の『最奥の蜜壺』へと深々と突き入れられる。激しい水音と肉が打ち付けられる音。それが地下室に響き渡る。
[A:澪:興奮]「あっ、あぁぁっ! 蒼真、見て……! 私、あなたの知らない雄の力で……こんなに……っ!」[/A]
背中を反らせ、痙攣する足の指を宙に浮かせながら、蒼真の目の前で何度も絶頂に達する澪。白目を剥き、唇から涎を垂らしながらも、彼女の漆黒の瞳は決して蒼真から離れない。[Heart]
あ、あ、だめ、壊れる、真っ白になる! 脳髄が弾け飛ぶほどの快楽の波。
[Tremble]「やめろぉぉぉ!! 俺の……俺の澪だ!! 触るなぁぁぁ!!」[/Tremble]
蒼真の口からほとばしる、獣のような絶叫。
自分が妻を壊したかったはずが、自らの所有物が他者の圧倒的な暴力と快楽によって蹂躙され、奪われていく。彼の中に眠っていた『寝取られへの異常な執着』と『完全なる喪失感』が同時に爆発し、脳髄を焼き尽くす。
[/Sensual]
[Glitch]ガガ……やめろ……俺の……アァァァァッ!![/Glitch]
膝から力が抜け、椅子ごと床に倒れ込む蒼真。目の焦点が失われ、喉の奥で詰まった嗚咽だけが漏れ続ける。紅葉はあまりの恐怖と狂気に気を失い、ただの肉の塊と化していた。
濡れた髪をかき上げながら、発狂する夫を冷たく、そして慈愛に満ちた目で見下ろす澪。
◇◇◇
第五章: 硝子の檻の聖母
嵐が去った夜明け。
東の空から差し込む朝焼けの光。血のような黄金色が洋館を染め上げる。冷たい雨の匂いは消え去り、澄み切った秋の空気が広がった。
[A:黒鉄:冷静]「……俺の役目は、これで終わりだ」[/A]
泥に汚れたシャツを羽織り直す黒鉄。彼の視線に揺らめくのは、一抹の寂寞と、手の届かない存在への狂信的な愛。
[A:澪:愛情]「ありがとう、黒鉄。あなたの泥の匂い、忘れないわ」[/A]
涙を流しながら、自らの血が滲むほど指を強く噛む澪。
振り返ることもなく、大きな背中は朝霧の中へと静かに溶けて消える。紅葉は夜の間に洋館から放り出され、すべてを失ったまま二度と戻ることはない。
黄金の光が降り注ぐ温室の中。
[A:蒼真:狂気]「あ……う、あぁ……みお……みおぉ……」[/A]
美しいスーツは見る影もなく汚れ、髪を振り乱した蒼真。幼児のように床に這いつくばりながら泣きじゃくる。かつての傲慢なエリートの面影はどこにもない。ただの、怯えきった抜け殻。
澪は純白の裾を翻し、彼を抱きしめるために膝をつく。
[Sensual]
[A:澪:愛情]「かわいそうなあなた。でも大丈夫、私がずっと愛してあげるから……」[/A]
震える背中を優しく撫でる、白い手。
廃人となった夫の顔を両手で包み込み、澪は自らの赤い唇を、彼の震える冷たい唇へとゆっくりと押し当てた。
甘く、狂気に満ちた口付け。[Heart]
彼岸へと渡ってしまった夫の瞳の奥。そこに永遠に自分だけが映る喜び。
[/Sensual]
硝子の檻の中で、聖母はついに己の神を手に入れた。
すべてが破壊し尽くされた廃墟の上。清冽なまでの愛が、静かに完成の時を迎える。光の奔流が二人を包み込み、世界は永遠の静寂へと沈んでいく。
雨は、もう降っていなかった。
[FadeIn]完[/FadeIn]