第一章: 赤に沈む廃教会
空が硝子のようにひび割れ、血の色の灰が雪のように舞い落ちる。
崩壊した王都の石畳。そこに落ちる、ひときわ濃い影。黒い外套を翻し、べったりと返り血で染まった銀髪を揺らす青年——アラン。鋭く暗い金色の瞳が、腕の中に抱え込んだ少女をねっとりと見下ろす。背に負った無骨な大剣。がちゃり、と冷たい金属音が空気を切る。
色褪せて破れた、純白の法衣。光を失った透き通るような銀髪が、アランの腕の間からこぼれ落ちる。セリアの虚ろな蒼い瞳。焦点は定まらず、白磁の首筋に浮かぶ赤い瘴気の痣だけが、生き物のように妖艶に脈打つ。
セリア「あ、ぁ……あつ、い……」
ドクン、ドクンと、彼女の胸の奥で異常な鼓動が跳ねる。ダンジョン最深部で浴びた濃密な瘴気。それが彼女の理性をドロドロに溶かし、強烈な発情の熱へと変換していく。
アラン「案ずるな。俺が毒を抜いてやる」
廃教会の冷たい石壇。そこに彼女を仰向けに横たえ、アランはその首筋に深々と顔を沈める。
セリア「……は、あ……っ! だめ、そこ……」
チュッ、と卑猥な水音。鋭い犬歯が赤い痣の周辺を甘噛みする。♥
アランの唇から、彼自身の重く濃厚な気がセリアの血管へと直接注ぎ込まれていく。喉仏が大きく上下し、熱を帯びた荒い吐息が彼女の敏感な耳たぶを撫でる。熱に浮かされたセリアは、彼にもっと触れたいと自らの爪を手のひらに深く食い込ませ、血を滲ませた。
骨張った指先が破れた法衣の隙間に潜り込む。震える太ももの内側を執拗になぞる熱。直接的な交わりは避けたまま。ただ指先と吐息、そして圧倒的な支配の熱量だけで、彼女の神経を絶頂の縁へと追いつめる。
セリア「ぁ、ああっ! アラン……っ、おかしく、なる……っ!」
弓なりに反る背中。足の指がぎゅっと縮こまる。濡れた花芯から溢れ出す甘い蜜の匂い。それが空気に混じる錆びた鉄の臭気と絡み合い、静寂の廃教会を満たしていく。
白目を剥きかけ、口角から一筋の涎が垂れる。精神の輪郭が曖昧に溶けていく中、セリアはすがるように彼の黒い外套を握りしめた。
完全にアランの手に堕ちた聖女。その光景をあざ笑うかのように、教会の外から無数の足音が響く。
ガシャン、ガシャン。
かつて世界を救うために共に戦ったはずの、見慣れた白銀の甲冑の擦れる音。迫る、追撃の刃。
第二章: 鮮血と熱の森
赤い灰が降り積もる枯れ木の森。
乾いた葉が踏み砕かれる音とともに、セリアを見捨てたかつての仲間たちが立ち塞がる。
アラン「邪魔だ」
低く凄みのある声。金色の瞳孔が獣のように開き、無骨な大剣が空を薙ぐ。
ギャアアアアッ!!
肉を断ち切り、骨を砕く鈍い音。噴水のように舞い上がる返り血。赤い灰と混じってアランの顔を真紅に染め上げる。圧倒的な暴力。一抹の躊躇もない惨殺劇。
降り注ぐ血の雨。アランは剣を振り払い、セリアの細い腰を強引に抱き寄せる。
鼻腔を突く、生々しい血の匂い。そして、アランの体から立ち昇る雄の濃烈な香り。
恐怖で視界が明滅するはずなのに。セリアの身体は、彼だけに向けられるこの異常な熱情に抗えない。
セリア「……っ、アラン……こわい、でも……」
血塗れの彼に抱かれるたび、下腹部の奥底がずきずきと疼く。無意識のうちに、彼女は自らその広い胸へとすり寄る。
夜の野営。ぱちぱちと爆ぜる火の粉の明かりだけが、二人の影を揺らす。
アランは震えるセリアを引き寄せ、自身の硬い太ももの上に跨がらせる。
アラン「お前は俺だけを見ていればいい。他の全ては俺が壊す」
分厚い掌が彼女の腰を掴む。衣服の上から自身のひどく昂った熱に、セリアの柔らかな秘裂を微かに擦り上げる。
セリア「……ひ、ぁあっ!? だ、だめ……っ、それ、いじょうは……」
寸止めの摩擦。直接触れられていないのに、布擦れの感触だけで電流のような快感が脳髄を焼き切る。
セリア「お願い……っ、中まで、して……っ! 私を、おかしくして……!」
懇願する声は夜闇に溶ける。アランは意地悪く唇の端を引きつらせ、決して最奥までは届かせない。焦らしに焦らされ、セリアの精神は限界の向こう側へと蕩けていく。じゅるり、と内股を伝う透明な蜜が、彼の太ももを濡らした。
高熱の中、ぐにゃりと歪む視界。
極限の快感と瘴気の熱。それが彼女の脳内に固く閉ざされていた記憶の蓋を、けたたましい耳鳴りとともにこじ開ける。狂ったように頭を掻き毟りたくなるほどの衝動。
第三章: 世界より重い嘘
……私が我慢すれば、アランは助かる。
冷たい石牢の記憶。
彼女が生贄に志願したのは、死の呪いを受けたアランの命を救うための自己犠牲。高潔な祈り。
だが、蘇る記憶の破片は、その美しい物語を粉々に打ち砕く。
アラン「あの呪術師は始末した。これで誰も真実に気づかない」
暗闇の中で血のついた剣を拭うアランの姿。
彼は最初から呪いなど受けていない。世界を滅亡の危機に陥れ、「世界か彼女か」という究極の選択を自作自演で作り上げた。
世界を犠牲にして、彼女を永遠に自分だけのものにするため。
セリア「どうして……嘘、ですよね……?」
喉の奥で詰まった嗚咽が、声にならずに漏れる。膝から力が抜け、赤い灰の積もる地面に崩れ落ちる。
決定的なすれ違い。信じていた世界が足元から崩れ落ちる絶望感に、彼女は自らの唇を噛み破り、血の味を飲み込んだ。
アラン「気づいたか。だが、遅い」
アランの金色の瞳が、逃げ場のない檻のようにセリアを捕らえる。眉間が一瞬だけ跳ね、狂気を孕んだ執着が静かに燃え上がる。
アラン「お前はもう、俺の匂いなしでは息もできない」
その言葉の通り。恐怖で震える指先が、無意識に彼の外套の裾を求めて宙を彷徨う。
アランの重すぎる狂愛の深淵を覗き込んだというのに、下腹部の疼きは止まらない。彼に触れられることを、彼に完全に支配されることを、身体中の細胞が狂おしいほどに渇望する。滴る蜜が石地に染みを作る。
セリア「あ……ぁ……わたし、は……」
自分の心身が、もはや元の聖女には戻れないほどに調教され尽くしている事実。その絶望的な快楽に、セリアは戦慄とともに打ち震える。♥
だが、その狂愛の箱庭を切り裂くように、周囲の空間がぐにゃりと歪む。
《空間絶界・黒死檻》
空が完全に裂け、禍々しい瘴気の嵐が吹き荒れる。
エリアス「無駄な足掻きだ。君は汚れきってしまったんだからね」
豪奢な魔術師のローブを翻し、神経質そうな細い眼鏡の奥で歪んだ笑みを浮かべる男。追撃部隊の長、元賢者・エリアスが静かに舞い降りる。
第四章: 崩壊する倫理
世界が完全にダンジョンと化し、息をするだけで肺が焼けるような瘴気の嵐が吹き荒れる。
エリアス「さあ、泥にまみれた聖女様。君の絶望する顔を見せておくれ」
エリアスの指先から放たれる精神操作の呪波が、セリアの心を土足で蹂躙しようと蠢く。
アラン「触るなァァァッ!!」
アランの咆哮。圧倒的な魔力操作で結界を力任せに打ち砕き、彼はセリアの盾となる。
ドシュゥゥゥッ!!
鋭利な魔力刃が、アランの胸を深く貫く。
セリア「アラン……っ!?」
口の中に広がる血の鉄の味を噛み殺し、アランは凄惨に笑う。血を吐きながらも、その手は決してセリアを離さない。
アラン「俺の、だ……誰にも、渡さねぇ……」
その姿を見た瞬間。
セリアの心の中で、微かに燻っていた「世界を救うべき」という倫理観が、音を立てて完全に崩壊する。
この人を救えるなら、世界なんてどうでもいい。
セリア「私を……全部、あなたにあげます……っ!」
彼女は自ら進んでアランの血塗られた首に腕を回し、その唇を塞ぐ。
血と涙が混ざり合う、ひどくしょっぱい口付け。だが、それは何よりも甘く、魂の髄まで縛り付けるような究極の相互依存の儀式。
舌先が絡み合い、互いの体温と生命力を交換する。♥
アランの熱く脈打つ楔が、今度こそ寸止めを越え、彼女のひどく濡れた柔肉の洞穴へと導かれる予感。セリアの敏感な花芯がはち切れんばかりに充血し、快楽の波が理性を完全に焼き尽くす。
エリアス「な、なんだそのおぞましい力は……!? 化け物め……っ!」
二人の交わりから生み出される底知れぬ魔力の奔流。エリアスの顔が醜い恐怖に歪む。
世界の終わりの中心で、二人だけの狂った領域が完成しようとしていた。
第五章: 永遠の檻
エリアスを退け、外界との繋がりを完全に絶ち切った二人。
赤い灰が静かに降り積もる、世界の果て。空は砕け散り、大地は死に絶えようとしている。
だが、彼らにとってはここが、誰にも邪魔されない美しき理想郷。
もはや言葉は不要。ただ互いの体温と吐息だけが、この閉ざされた世界の全て。
廃墟の柔らかな毛布の上。
アランの熱い指先が、セリアの濡れそぼった花芯の奥に秘められた甘い蜜を掬い取る。ねちゃり、ねちゃり。いやらしい水音が粘りつくように響く。汗ばんだ肌と肌が吸い付く感覚。
アラン「……セリア。俺の、可愛いセリア……」
セリア「あっ、あぁっ……アラン、もっと……私を、壊して……っ!」
彼女の懇願に応えるように、アランの熱く脈打つ猛りが、ついに彼女の最深の柔肉へと深く、重く貫かれる。
セリア「あッッ……!!」
交わりの瞬間、稲妻のような快感がセリアの背骨を駆け抜ける。
息継ぎすら忘れるほどの深い口付け。肉と肉がぶつかり合う卑猥な打撃音、ドクン、ドクンと狂ったように跳ねる心音。空気が薄くなるほどに濃密な汗の匂いと、甘ったるい愛液の匂いが混ざり合う。♥
アランの匂い、汗の味、そして容赦なく打ち付けられる絶対的な支配。奥底をガンガンと突き上げる暴力的なまでの快楽。
セリア「アラン……っ、好き……あなたがいれば、なにもいらない……っ!」
狂おしいほどの快感。視界が白く濁る中、彼女はただひたすらに彼だけを見つめ、ひくひくと痙攣する喉でその名を呼び続ける。
セリア「あ、あ、だめ、壊れる、真っ白になるっ!!」
やがて、アランの欲望が限界を迎え、彼女の最奥に熱い生命の白き飛沫をどくどくと爆発させる。同時に、セリアもまた、目の前が真っ白になるほどの強烈な絶頂を迎え、身体を弓なりに硬直させた。あふれ出す濃密な体液が、二人の結合部からどろりと零れ落ち、柔らかな毛布を汚していく。
荒い呼吸音だけが響く中、互いの存在だけを貪り合い、ドロドロに溶け合う魂。
赤い灰が、窓辺に優しく降り積もる。
外の世界がどれほど無惨に滅びようとも、彼らの心は究極の安寧に満たされていた。
二人だけの閉ざされた檻の中。
永遠に終わらない絶頂と救済の海に溺れながら、彼らは美しく狂った愛の結末を、ただ静かに抱きしめる。