第一章: 星屑の目覚めと背徳の産声
空の天蓋がひび割れ、淡く青い『星屑の魔力雨』が、崩壊した廃都の輪郭を冷たく濡らしていく。
錆びた鉄骨が散乱する瓦礫の山を、無言で踏み越えるナギ。
フードの奥で淀んだ光を放つ、鋭い三白眼の暗い瞳。
濡れた黒髪が額に張り付き、吐く息は白い煙となって虚空へ溶ける。
大気中に充満する高濃度の魔力。それに呼応し、彼の首筋から肩へかけて刻まれた銀色の魔導紋様が、チリチリと微かな熱を帯びて脈打つ。
[Think]……最下層。ここが、旧文明の墓場か[/Think]
錆びた鉄と埃の饐えた臭気が鼻腔を突く。
だが、その最深部だけは異質だった。
崩れかけた祭壇の中央に鎮座する、分厚いガラスの棺。
内部には、透き通るような長い銀髪を散らせた少女の姿。
旧帝国のものと思われる純白のドレスはボロボロに擦り切れ、蝋細工のように白い肌を無防備に晒している。
世界を滅ぼしたとされる古代兵器。
だが、ナギの目に映るのは、ただの脆弱な器。
[A:ナギ:冷静]「起きる時間だ。お前の記憶、俺が視てやる」[/A]
[Sensual]
ガラスの棺の蓋を吹き飛ばし、眠り姫の首筋へと冷たい指を這わせるナギ。
耳の裏に隠された、淡く光る魔導痕。
そこへ自らの魔導紋様を押し当て、高純度の魔力を一気に流し込んだ。
[Pulse]トクン、トクン。[/Pulse]
接触面から、魂の奥底を直接撫で上げるような強烈な熱波が逆流する。
[A:イリス:驚き]「あ……っ、ぁ……!」[/A]
弓なりに跳ねる少女の背中。
閉ざされていた瞼が開き、青と金のオッドアイが空気を震わせて焦点を結ぶ。
甘い吐息がナギの頬を叩き、甘美な花の匂いが肺の奥を満たしていく。
[A:イリス:照れ][Whisper]「あなたは……? なぜ、こんなにも……温かいのですか……?」[/Whisper][/A]
[A:ナギ:興奮]「俺はナギ。お前の魂を、俺の魔力で塗り潰してやる」[/A]
震える少女の腰を引き寄せる。すると、彼女はすがるようにナギのコートを強く握りしめた。
[Heart]ドクンッ……[/Heart]
[/Sensual]
無力な亡霊と、全てを失った調律師。
濡れた廃墟の底で、二人の歪な共犯関係が産声を上げる。
だが、その静寂を切り裂く不協和音。
[Tremble]カツン、カツン……。[/Tremble]
遥か上層から響く、鋼のブーツが石畳を叩く音。
ナギをこの地獄へ突き落とした、最も忌まわしい女の足音が、確実な死を運んでくる。
第二章: 傲慢なる勇者の調律
[A:セリア:怒り]「どこに隠れてるのよ、無能! さっさと出てきなさい!」[/A]
廃都の回廊にこだまする、甲高い罵声。
燃えるような赤髪のポニーテールを揺らし、苛立ちを隠さずに剣を振り回すセリア。
自慢のビキニアーマーはところどころ傷つき、泥に汚れ、健康的な太腿の白い肌が露わになっていた。
ナギという「精神の調律役」を失った彼女の剣筋。そこには、もはやかつての栄光の欠片もない。
[A:ナギ:冷静]「お前の方から餌になりに来るとはな。随分と都合がいい」[/A]
暗がりから響く低い声。セリアが振り返るより早く、床の魔導回路が青白く発光する。
[Magic]《重力束縛(グラビティ・チェーン)》[/Magic]
[Impact]ガアンッ![/Impact]
[A:セリア:驚き]「きゃああっ!?」[/A]
目に見えない不可視の鎖がセリアの四肢を捕らえ、冷たい石柱へと無惨に磔にする。
剣が乾いた音を立てて床へ転がり落ちた。
[A:ナギ:冷静]「お前の記憶は、随分と美味そうだ。その安っぽいプライドごと、抉り出してやる」[/A]
[Sensual]
黒のコートを翻し、悠然と近づくナギ。
肌を直接重ねることはしない。
ナギの指先が、空中に浮かび上がるセリアの敏感な魔導回路を、まるで楽器の弦を弾くようになぞる。
[A:セリア:怒り]「ふざけ、ないでっ……こんなことして、ただで済むと……ひッ♡」[/A]
強気な言葉は、瞬時に嬌声へと裏返った。
ナギの指が特定の回路を弾くたび、セリアの脳髄に強制的な快感の波が叩き込まれる。
ビキニアーマーに包まれた胸の先端が硬く尖り、太腿の内側が痙攣を始めた。
[A:ナギ:興奮]「どうした勇者様。足の指が縮こまってるぞ」[/A]
[A:セリア:絶望][Tremble]「ぁ、や、やめて……あたまが、おかしく……っ!」[/Tremble][/A]
絶頂の手前で寸止めされる地獄の拷問。
よだれが口端から零れ落ち、白目を剥きそうになる寸前で、ナギはまた波を引かせる。
[A:セリア:悲しみ][Whisper]「お願い……もっと……私を、満たして……っ」[/Whisper][/A]
理性を完全に粉砕された女勇者の懇願。
[/Sensual]
セリアの瞳孔から抽出された絶頂の記憶が、甘い蜜色の光となって空を舞う。
それは祭壇で待つイリスへと吸い込まれ、彼女の瞳に微かな生気を与える。
完全な復讐の果て。
だが、廃都のシステムが突如として[Glitch]異常なノイズ[/Glitch]を放ち始める。
空を覆い尽くす、巨大で神聖な魔法陣。
[A:リネル:狂気]「見つけましたわ、私の、私だけのナギ……っ」[/A]
天の頂きから、純白の修道服がふわりと舞い降りる。
真の黒幕が、狂気をはらんだ笑みと共に降り立った。
第三章: 聖女の裏側と、暴かれた聖櫃
[A:リネル:喜び]「ああ、ナギ……その薄汚れた女など捨てて、私の元へいらっしゃいませ。私がすべてを浄化して差し上げますわ」[/A]
ゆるふわの金髪を揺らし、慈愛に満ちた緑の瞳で微笑むリネル。
深いスリットの入った純白の修道服からは、陶器のように白い脚が覗く。
清廉潔白を装う聖女。
だが、ナギはその奥底に渦巻くヘドロのような執着を知っている。
彼は首筋の紋様を光らせ、廃都のメインシステムへと直結する。
[A:ナギ:冷静]「お前の狂った脳内、世界中に見せてやるよ」[/A]
[Magic]《記憶投影(メモリー・リバース)》[/Magic]
[Flash]カッ![/Flash]
空間全体が歪み、巨大な幻影スクリーンが幾重にも展開される。
そこに映し出されたのは、神聖な祭壇の裏に隠れるリネルの姿。
[Sensual]
[A:リネル:狂気][Whisper]「あぁっ、ナギ……私を汚して、もっと乱暴に……っ」[/Whisper][/A]
幻影の中のリネルは、自ら作り出したナギの幻影に抱きつきながら、修道服を捲り上げ、秘所の敏感な花芯を自らの指で狂ったように掻き回している。
滴る蜜の音が、聖なる神殿の静寂を淫靡に汚す。
[A:リネル:驚き]「な、何を……!? 止めて、やめなさいっ!」[/A]
現実のリネルが顔を真っ赤にして叫ぶ。だが、幻影の喘ぎ声はさらに大きく響き渡る。
[A:ナギ:興奮]「毎夜、俺の幻影でお楽しみだったとはな。この廃都の記憶装置は、魂の底まで記録するんだぜ」[/A]
極限の公開羞恥。
隠し通してきた最も淫靡な秘密を暴かれ、リネルの膝が震え出す。
[Heart]ドクンッ![/Heart]
視覚的羞恥と、記憶のフラッシュバックが重なり、彼女の脳髄がドロドロに溶け出す。
[A:リネル:絶望]「あ、あぁぁぁ……見られてる、ナギに、見られて……いぐぅっ!」[/A]
絶頂の波に飲まれ、リネルは大量の蜜を散らしてその場に崩れ落ちた。
[/Sensual]
彼女から溢れ出した、どす黒い愛憎の記憶。
それがイリスの体内に吸収された瞬間、ガラスの棺を突き破るほどの光の奔流が巻き起こる。
[Impact]ドガンッ!![/Impact]
空中に浮かび上がったイリスの背中に、巨大な『悲しみの翼』が展開する。
彼女は世界を滅ぼす兵器などではない。
人々の「悲しみと痛みの記憶」を無尽蔵に吸い込み、肩代わりし続ける悲しき『聖櫃』。
[A:イリス:悲しみ]「ああ……世界は、こんなにも痛い……」[/A]
許容量を超えた彼女の白い肌に、亀裂のようなヒビが走り始める。
第四章: 崩壊する器と、すれ違う雨
[A:ナギ:恐怖]「イリス! おい、何が起きてる……っ!」[/A]
ナギの絶叫が、崩れゆく神殿の壁に虚しく反響する。
空中で静止したイリスの身体から、ガラスが砕けるような鋭い音が連続して鳴り響く。
陶器のように滑らかだった腕に、脚に、頬に、赤い亀裂が走り、そこから強烈な魔力の光が漏れ出している。
他者のどす黒い欲望。狂気。そして絶望の記憶。
それらを限界まで飲み込んだ小さな器は、内側から弾け飛ぼうとしていた。
[A:イリス:悲しみ]「ナギ……来ないで。これ以上は、あなたまで壊れてしまう」[/A]
オッドアイの瞳から、大粒の涙が零れ落ちる。
彼女はナギを愛してしまった。初めて触れた世界の温もり。
だからこそ、自分の背負う致死量の痛みを、彼にだけは渡したくなかったのだ。
[A:ナギ:怒り]「ふざけるな! 俺がお前を調律する! その痛みごと、俺が引き受けてやる!」[/A]
[Shout]「イリィィィスッ!!」[/Shout]
ナギは地を蹴り、虚空へ向かって手を伸ばす。
だが、イリスの周囲を覆う絶対的な拒絶の光が、ナギの肉体を容赦なく弾き飛ばす。
[Impact]ガッ……![/Impact]
肋骨が軋み、口の中に生暖かい鉄の味が広がる。
肺から空気が搾り出され、石畳に無惨に叩きつけられた。
[A:イリス:愛情][Whisper]「ありがとう、私のたった一つの光。……さようなら」[/Whisper][/A]
イリスの身体が、自分自身を永遠の冷たい眠りへと誘う『再封印の繭』へと包まれていく。
復讐という安易な怒りに逃げ、本当に守るべきものを直視していなかった己の愚かさ。
崩れ落ちる星屑の雨の中、ただ一人愛した少女が自己犠牲の果てに消えゆく。
指先が凍りつくような冷たさの中、ナギの伸ばした手は、光の粒子をすり抜けて空を斬る。
第五章: 喪失の果てに紡ぐ光
[A:ナギ:狂気]「……このまま終わらせると思うか。俺の全部を懸けて、お前を奪い返す」[/A]
血を吐きながら立ち上がったナギの瞳に、迷いはない。
首筋の魔導紋様に、自身の生命力と「これまでの全ての記憶」を代償として叩き込む。
銀色の紋様が限界を超えて赤熱し、肉を焦がす匂いが立ち昇る。
[Magic]《魂の調律・極致(オーバーライド・ゼロ)》[/Magic]
ナギの身体が光の矢となり、絶対の拒絶を誇るイリスの繭を貫通した。
[Sensual]
肉体を持たない、純粋な魂の次元。
圧倒的な光の奔流の中で、ナギはイリスの精神の最奥へと到達する。
[A:イリス:驚き]「どうして……あなたの記憶が、消えていく……!」[/A]
[A:ナギ:愛情]「そんなもん、お前がいればまた作れる。だから……泣くな」[/A]
ナギの魂が、イリスの背負う莫大な『痛みの記憶』を包み込む。
物理的な交わりを超えた、極限の精神的同調(シンクロナイズ)。
痛みを、それ以上の圧倒的な快楽と愛の熱量で中和していく。
[Pulse]ドクン、ドクン、ドクン![/Pulse]
[A:イリス:興奮][Tremble]「あぁ……っ! ナギ、ナギ……! 溶け、ちゃう……っ!」[/Tremble][/A]
魂同士が直接愛撫し合うような、途方もない快感の渦。
イリスの奥底から溢れる冷たい悲しみが、ナギの熱い愛情の楔によって次々と溶かされ、純白の光となって爆発する。
[A:イリス:興奮]「あ、あ、だめ、壊れる、真っ白になるぅっ! ナギぃぃっ!」[/A]
二人の魂の輪郭が完全に混ざり合い、幾度もの限界を超えた絶頂が、光の次元を白く染め上げる。
[/Sensual]
[FadeIn]……――。[/FadeIn]
どれほどの時間が過ぎたのか。
冷たい石畳の上で、ナギはゆっくりと目を開ける。
頭の中は真っ白だ。自分の名前も、ここがどこなのかも、なぜ空がこんなにも青いのかも、何も思い出す術を持たない。
ただ、胸の奥に確かな温もりだけが残っている。
[A:イリス:喜び]「……おはようございます」[/A]
傍らに視線を向けた。
透き通るような銀髪の少女が、ボロボロの純白のドレスを揺らしながら、大粒の涙をこぼして微笑んでいる。
彼女の肌にヒビはなく、呪縛から解き放たれた青と金のオッドアイが、ナギだけを真っ直ぐに見つめていた。
[A:ナギ:冷静]「……あんたは、誰だ? なぜ泣いてる?」[/A]
[A:イリス:愛情]「私はイリス。……あなたの、これからの記憶です」[/A]
少女はナギの首筋に腕を回し、その温もりを確かめるように強く抱きしめる。
廃都の崩れかけた天蓋の隙間から、美しい朝日が差し込む。
失われた記憶の果てで、二人はゼロから、新たな愛の物語を紡ぎ始める。