第一章: 甘美なる拘束の予感
冷徹な月光が斜めに差し込む夜の寝室は、息が詰まるほどの沈黙に満たされていた。
蒼白な光を浴びて妖しく揺らめくのは、波打つ銀髪ロングヘア。
エレナ・ヴァルハイトの深い青い瞳には、今にも零れ落ちそうなほどの悲痛な不安が宿っていた。
明日へ迫った政略結婚という名の絶対的な絶望。
その重圧に押し潰されそうな胸元を手繰り寄せ、彼女は震える指先で清楚なシルクドレスの裾を固く握り締めた。
エレナ・ヴァルハイト「リュカ……私、あのような傲慢な男の妻になるなど、耐えられませんわ……」
掠れた声が夜空へ溶けるのとほぼ同時だった。
暗闇に沈む部屋の中、足音ひとつ立てず無音で忍び寄った影がある。
黒髪ショートの髪を完璧に切り揃え、黒の燕尾服を隙なく完璧に着こなした専属執事、リュカ・セルヴァン。
彼は何事もなかったかのように、エレナの足元へと静かに膝を突いた。
鋭く妖しい黒目をわずかに揺らめかせ、恭しくエレナの細く白い手首を掬い上げる。
その指先が触れた瞬間、エレナの皮膚に冷たい電気のような悪寒が走った。
リュカ・セルヴァン「お嬢様。あなた様のお望みなら、何なりと。まずはその高鳴る心音を鎮める『特別な療法』をお試しになりませんか?」
エレナ・ヴァルハイト「療法……? 私を誰だと思っていますの? そのような怪しいものに頼るわけが――」
拒絶の言葉を紡ごうとしたエレナの唇は、それ以上動かなかった。
すべらかな質感を持つ、深い漆黒のシルク布が突如としてエレナの視界を覆い尽くしたからだ。
後頭部で手早く、だが極めて滑らかに結ばれる結び目。
瞬く間に光を奪われ、世界は完全な漆黒へと塗り潰される。
見えない恐怖。同時に、背骨を急速に駆け上がる怪しい痺れに、エレナは息を呑んだ。
エレナ・ヴァルハイト「んくっ……な、何を……目隠しなどして……っ」
リュカ・セルヴァン「静かに、お嬢様。見えないからこそ、感じていただけるのです」
耳元で深く響く滑らかな低音。
その甘い吐息が触れた瞬間、エレナの華奢な肩が跳ね上がった。
彼女の最大の弱点である耳裏へと、温かく湿った息が容赦なく吹きかけられる。
うなじの皮膚がゾクゾクと粟立ち、全身の毛穴が開くような錯覚。
視覚を完全に閉ざされたことで、皮膚をなぞる執事の長指の体温が、恐ろしいほど生々しく脳裏に刻み込まれていく。
リュカ・セルヴァン「呼吸を乱してはいけません。身体の力を抜き、私だけに集中なさってください」
エレナ・ヴァルハイト「あ……ふぁ、リュカ……手、が……っ」
熱を帯びたリュカの指先が、エレナの白い首筋のラインをなぞり、ドレスの胸元へゆっくりとなぞり下りていく。
心臓の跳ねる音が、暗闇の中で自分自身のリズムを超えて耳奥に狂暴に鳴り響いていた。
第二章: 暗闇に溶ける理性

いつの間にか連れ出された場所は、冷たく重厚な鍵の音がカチリと深く響く、書斎の密室だった。
深い絨毯の匂いと、古い皮脂とインクの香りが漂う空間。
目隠しをされたままのエレナは、冷ややかな革のソファへとあっけなく押し倒されていた。
肌に触れる冷たいレザーの感触と、上に覆いかぶさる執事の熱い体温のコントラストに、全身の毛穴が収縮する。
エレナ・ヴァルハイト「ここ、は……? 答えて、リュカ! 私をどうするつもりですの!?」
リュカ・セルヴァン「お嬢様を、嫌な現実からお救いしているのです。余計なものは見なくてよい……ただ私の愛撫に溺れなさい」
「くちゅ……」と甘く湿った粘着音が耳元で弾けた。
リュカの唇がエレナの熱を帯びたうなじに容赦なく吸い付き、柔肉を舌で転がしながら甘噛みする。
エレナ・ヴァルハイト「んぁッ……!? やっ、そこは……ダメ……ぁはっ!」
リュカ・セルヴァン「ダメ、ではありませんよ。こんなにも肌が熱く火照っていらっしゃる」
ドレスの胸元が乱暴かつ繊細な指先によって肌から押し開かれ、膨らむ豊満な果実が露わになる。
すでに手袋を外し、素肌となったリュカの長指先が、先端の固く結実した花蕾に触れた瞬間、エレナの腰が大きく跳ね上がった。
「あはぁッ……んっ!」
エレナ・ヴァルハイト「あぁっ! ひぁ、め、目隠しを外し……なさ……っ、見えないと、私……っ」
リュカ・セルヴァン「見えないからこそ、己の欲望に素直になれるのでしょう? シーツを握り締めるいつもの指先で、私のお召し物を掴みなさい」
どうして……私の秘密の癖まで……っ!?
♥理性を引きちぎる快感[/Heart]が身体の芯からあふれ出し、下腹部が甘い熱と密やかな蜜で濡れ落ちていく。
拒むべき手は言葉とは裏腹に、リュカの燕尾服の胸元を固く、爪が引き裂くほどに掴み締めていた。
「あはぁっ……ん、ぐちゅ……っ、リュカ、の……指っ……あぁん!」
完全に触覚の奴隷と化したエレナが甘い蜜を溢れさせ、屈服の吐息を漏らしたその時――。
コツン、コツンと、重々しい革靴の音が廊下の向こうから近づいてきた。
第三章: 背徳の絶頂と契約

ドアのすぐ外で、足音がぴたりと止まる。
高圧的で重厚な声が、薄いドア一枚を隔てて密室内に響き渡った。
ジークフリート・フォン・アルテナ「エレナ! どこにいる! 姿を見せぬか、余の婚約者でありながら私を待たせるとは何事だ!」
金髪オールバックに豪華な軍服を纏った婚約者、ジークフリート・フォン・アルテナの怒声。
エレナは息を呑み、絶望的な恐怖に全身の肉体を硬直させる。
エレナ・ヴァルハイト「ジ、ジークフリート様……!? んむっ……!?」
叫びそうになる彼女の薄桃色の唇を、リュカの深く情熱的なキスが完全に塞ぐ。
「んちゅぅ、む……くちゅ、んっ……」
帳の降りた書斎の陰で、リュカはエレナの身体を抱き上げ、力強く抱き寄せた。
香炉の煙が甘く漂う中、ジークフリートがドアのノブをガチャガチャと荒々しく回す音が密室内に狂おしく響く。
ジークフリート・フォン・アルテナ「チッ、鍵がかかっているのか……執事はどこへ行った!」
扉一枚隔てた絶対的な恐怖。
見つかれば全てが破滅するという絶望的なスリル。
しかしリュカは冷徹な微笑を浮かべたまま、エレナのドレスの裾を大きく割り開き、密やかな秘所へとなめらかに熱い昂りを押し当てた。
エレナ・ヴァルハイト「んんーッ……!?(なっ、入っ……入って……っ!?)」
リュカ・セルヴァン「お声を耐えなさい、お嬢様。声を上げれば、あの男にこの背徳の姿を見られますよ……っ」
「ぬちゃぁ……っ、ズブ、ズチュッ!」
身体の奥深くを貫く、絶対的な結合。
純白の未経験を強引に奪い去る激しい穿ちに、エレナの脳内は激痛と、それを遥かに凌駕する真っ赤な快楽の閃光で満たされた。
全身の筋肉が波打ち、締め付ける。
エレナ・ヴァルハイト「んく、ぁ……ッ! ふーッ、ふぅーッ……!!(あぁっ、奥まで……凄いの来ちゃっ……!!)」
ジークフリートの「おい、誰か鍵を持ってこい!」という荒々しい声が遠くに聞こえる。
リュカは容赦なく腰を強く叩きつけ、深い奥の柔肉を執拗に、正確に突き上げた。
「ビクンッ! ビクンッ!」とエレナの身体が絶頂の波に激しく弾ける。
声を極限まで忍び耐え、足指を丸めて屈服する快感は、通常の何倍もの背徳的な熱量となって彼女の理性を跡形もなく破壊した。
エレナ・ヴァルハイト「んあぁっ……! リュカ……私、もう……リュカの……っ!♥」
自ら執事の広い背中に深く爪を立ててしがみつき、腰を必死に押し付けてさらなる快楽をねだる。
心も体も、尊厳の全てが完全にこの執事の絶対支配下へと下っていく。
「ドクン、ドクンッ!」と、熱く脈打つ白濁の誓いが最奥の深みへと深く深く注ぎ込まれ、二人は同時に狂おしい激しい果てを迎えた。
外の苛立った足音が遠ざかっていく中、リュカの長い指先がゆっくりとエレナの目隠しを解く。
光が戻った青い瞳に映ったのは、狂おしいほどの執着と深い愛で歪んだ、美しき暗闇の執事の笑みだった。
リュカ・セルヴァン「これで、二度と私から逃れられなくなりましたね……お嬢様」
エレナ・ヴァルハイト「ええ……私を、一生……溶かしてくださいませ、リュカ……」
滴る体液の熱を感じながら、二人は重なる唇を二度と離そうとはしなかった。
破滅の予感に満ちた背徳の契約が、甘い密室の中で、絶対の絆として静かに刻み込まれたのだった。