第一章: 星屑の崩壊と、踏み躙られた純情
ひび割れた空間から、星屑のような青い光の粒子がこぼれ落ちる。
漆黒のタクティカルコート。泥と血にまみれたその裾が、微かに揺れる。
黒髪のボサボサ頭を掻き毟る手。疲労で真っ黒なクマが張り付いた三白眼が、足元の惨状を見下ろす。
広がる血の池。そこに横たわるのは、艶やかな銀髪のツインテールを赤く染め上げた少女。
彼女の口から零れる、生暖かい血の鉄の味。それが、世界を絶望の色に塗り潰していく。
クロヤ・レン「……嘘だろ」
ミオ。俺の……。
ドクン、ドクン。
クロヤ・レン「戻る。何度でも」
「時間を、巻き戻せぇぇ!!」
《時間遡行(クロノス・リヴァーサル)》
眩い閃光。
視界が白く染まり、そして世界が再構築される。
目覚め。
埃っぽい空気。甘い香水と微かな汗の匂いが鼻腔を突く。
シラサギ・ミオ「今日も皆に、極上の景色を見せてあげるわっ!」
サファイアのような青い瞳。白と青の流線型バトルスーツが、彼女の息を呑むほどの曲線美を強調する。
ここはダンジョン中層。大人気配信の真っ最中。
生きている。ミオが、そこにいる。
クロヤ・レン「ミオ……!」
思わず伸ばした手。だが、振り返った彼女の瞳に宿るのは、零下のごとき冷徹。
シラサギ・ミオ「ちょっと。気安く呼ばないでよ、キモい」
ドクン。
心臓を鷲掴みにされるような痛み。世界の修正力。彼女の中から「俺を愛していた記憶」だけが、綺麗に削り取られている。
シラサギ・ミオ「あんたはただの『処理係』でしょ。ほら、こっち来なさいよ」
カメラの死角。冷たい岩陰。
白と青のバトルスーツ。その硬質なブーツの先端が、レンの股間を容赦なく踏みつける。
クロヤ・レン「ぐっ……!」
シラサギ・ミオ「声、出さないで。配信に拾われるでしょ」
冷酷な言葉とは裏腹に、彼女の息は酷く荒い。
白磁のような太ももの内側が、小刻みに震えている。
ブーツのヒールが、ズボン越しにレンの昂りをグリグリと執拗に押し潰す。
「……ふぁっ、あ……いいわ、これ……っ」
サファイアの瞳が、熱を帯びてトロンと濁る。♥
痛みと同時に、抗いがたい熱が下腹部に集まった。
かつての愛しい笑顔はない。あるのは、歪な支配欲に塗れた雌の顔。甘い汗の匂いが、暗がりに充満する。
シラサギ・ミオ「ほら、もっと硬くしなさいよ。私の足で、搾り取ってあげるから……っ!」
倫理のタガが外れる音。
かつての純愛は、無残に踏み躙られた。
俺が選んだこの世界は、決定的に狂い始めている。
第二章: 忘却の代償、そして檻の中の熱
何度目かのループ。少しでも彼女の死の運命を逸らすため、立ち回りを変える。
クロヤ・レン「右の通路は崩落する。左へ行け」
シラサギ・ミオ「は? 底辺の荷物持ちが、私に指図しないでくれる?」
記憶はさらに欠落。今や「幼馴染」どころか「都合の良い存在」ですらない。
完全なる底辺扱い。
だが。
カチャ、カチャ。
彼女の持つ剣の切っ先が、不自然に揺れている。
レンが近づくたび、ミオの呼吸が浅く、早くなる。甘い吐息。
シラサギ・ミオ「な、なんなのよ、あんた……っ!」
クロヤ・レン「俺は、ただの荷物持ちだ」
シラサギ・ミオ「嘘よ! あんたが近くにいるだけで、身体が……っ」
薄暗いギルドの備品室。埃と錆びた鉄の匂い。
レンは壁に押し付けられ、両手をロープで縛り上げられている。
目の前には、呼吸を荒らげるミオ。
「……あんたの匂い……嗅ぐだけで、おかしくなりそう……」
銀髪の隙間から覗く耳裏が、真っ赤に充血している。
彼女の震える指先が、レンの漆黒のコートをまさぐり、その下にある熱い胸板をなぞる。
クロヤ・レン「ミオ……やめろ」
シラサギ・ミオ「黙れっ……! 私を、どうにかしなさいよ……っ!」
彼女の濡れそぼる蕾から、甘い蜜が太ももを伝ってとめどなく零れ落ちる。♥
だが、レンの手は縛られている。触れることすらできない。
「ああっ、あ……っ! 見ないで、そんな目で……っ!」
視線が絡み合う。互いの熱い吐息だけが、顔に当たる。
触れられぬままの、究極の寸止め。
シラサギ・ミオ「いやっ、イク……っ、触られてないのに……イッちゃうぅぅ!!」
膝から崩れ落ち、備品室の冷たい床で彼女は身をよじる。
背中が弓なりに反り、足の指が激しく縮こまった。
嬌声が密室に響き渡る。
憎悪の瞳から零れるのは、理性を焼き尽くされた快楽の涙。
俺は、彼女を救っているのか。
それとも、この手で完全に壊しているのか。問いかけに対する答えは、誰の口からも語られない。
第三章: 観測者の嘲笑、刃と蜜の矛盾
アマギ・カレン「愛なんて、脳のバグみたいなものよ」
気怠げで妖艶な声。
ギルドのカウンター。波打つ紫の長髪を揺らし、アマギ・カレンは赤ワインの入ったグラスを傾ける。
胸元が大きく開いた黒い制服。深く切り込まれたスリットから覗く長い脚。
クロヤ・レン「どういう意味だ」
アマギ・カレン「時間を戻すたび、あの娘の魂は削られているの。その空白を、本能的な『発情』で埋めているだけ」
ガシャン!
レンの手の中で、コーヒーカップが砕け散る。熱い液体が指を焼くが、痛みなど感じない。
アマギ・カレン「それにね。彼女が死ぬのは偶然じゃない。魂そのものが、破滅を望んでいるのよ。……次は、殺されるわね」
次なるループ。ダンジョンの最深部。
シラサギ・ミオ「見知らぬ侵入者。ここで死になさい」
彼女の瞳には、一切の記憶がない。完全なる虚無。
白銀の刃が、レンの首筋に迫る。
だが。
ピタリ。
刃が、首の皮一枚のところで止まる。
シラサギ・ミオ「……え?」
殺意を抱いた瞬間。彼女の身体を、狂おしいほどの熱波が襲う。
シラサギ・ミオ「な、んで……? 身体が、熱い……っ」
剣を取り落とす。彼女の太ももの間が、じわりと濃い色に染まる。
「あ……ぁ、う……っ」
殺そうとするたび。憎もうとするたび。
彼女の濡れた深淵が激しく脈打ち、透明な蜜をドクドクと際限なく吐き出す。♥
シラサギ・ミオ「やだっ……! わたし、おかしい……っ! どうして、こんな……っ!」
見ず知らずの男の前で、自らの指を疼く花弁に這わせ、必死に快感を散らそうと喘ぐ。
涎が垂れ、サファイアの瞳は完全に焦点を見失っている。
殺意と発情の残酷な矛盾。
カレンの嘲笑が、脳裏に響き渡る。
このままでは、彼女の精神は完全に崩壊する。破滅へのカウントダウンが、静かに時を刻む。
第四章: 特異点の生贄、真実の残滓
タイムリミット。
空間がひび割れ、赤い魔力が渦巻く。
クロヤ・レン「俺が、特異点になる」
すべての魔力を、死の運命を、この身に。
シラサギ・ミオ「死ねぇぇぇ!!」
ドスッ!!
白銀の刃が、漆黒のコートを貫き、レンの心臓を的確に穿つ。
口の中に広がる、強烈な血の鉄の味。
クロヤ・レン「……これで、いい」
胸を貫かれた瞬間。
閃光。
ミオの身体を、落雷のような圧倒的な快感が貫き抜ける。
「あ……ぁぁぁぁっ!!」
背中が弓なりに反り、足の指が激しく縮こまった。
白目を剥き、口の端からだらだらと涎を垂らしながら、彼女はかつてない規模の絶頂を迎える。♥
あ、あ、だめ、壊れる、真っ白になる! とめどない白き熱が、彼女の脳髄を焼き尽くす。
同時に。
脳内に雪崩れ込む、無数の記憶。
自室のベッド。不器用に重ねた唇。
『何度でも、君が生きる明日を探す』
シラサギ・ミオ「あ……れ……?」
刃から手を離す。血に染まるレンの身体が、ゆっくりと傾く。
シラサギ・ミオ「れ、ん……? レン……っ!?」
真実の記憶の残滓。
彼女は崩れ落ちる彼を抱きとめ、その温もりを必死に確かめる。
クロヤ・レン「生きろ……ミオ」
シラサギ・ミオ「嫌ぁぁぁぁっ!! 置いてかないでぇぇぇ!!」
血だらけの唇。彼女は震える口付けを落とす。
冷たい唇から、生暖かい鉄の味が伝わる。
視界が、白く溶けていく。
永遠に交わることのない二人の運命が、音を立てて崩れ去る。
第五章: 幻の熱、終わらない渇き
圧倒的な光の奔流。
特異点の消滅を確認。世界を再構築します。
青い空。雄大な入道雲。
東京の喧騒。
シラサギ・ミオ「みんなー! 今日も極上の景色、見せてあげるわっ!」
カメラに向かって無邪気なピースサイン。
S級探索者にして、トップ配信者。輝かしい日常。
だが。
ポツリ。
突然の夕立。アスファルトが濡れ、雨の匂いが混じった土の臭気が舞い上がる。
シラサギ・ミオ「……え?」
ドクンッ!!
激しい胸の痛み。
そして、下腹部を焦がすような、狂おしい幻の熱。
「あ……ぅ……っ」
傘を落とす。膝から力が抜け、濡れたアスファルトに崩れ落ちる。
太ももの内側が小刻みに震え、最奥の柔らかな肉が、ありもしない「誰かの熱い楔」を求めて空しく脈打つ。♥
シラサギ・ミオ「だれ……? わたし、なにを……っ」
顔も、名前も思い出せない。
けれど、魂に焼き付いた「彼」の匂いと、果てしない喪失感だけが永遠に消えない。
雨に打たれながら、彼女は理由もわからず嗚咽を漏らし続ける。
世界は救われた。
ただ一人の少女の、満たされることのない永遠の渇きと引き換えに。