[Pulse]ドクン、ドクン、ドクン……。[/Pulse]
冷たい雨が泥を叩き、薄暗い森に不快な粘着音を響かせる。
泥水に塗れた膝から、じわじわと体温が奪われていく。
血と泥の混じった鉄の匂い。肺の奥が焼け焦げるように痛む。
前方にそびえるのは、絢爛な黄金の刺繍が施された巨大な天幕。
分厚い布地の隙間から、揺らめく灯火の光が鋭い刃のように漏れ出ている。
そして、その光の奥から粘つくような水音と、獣じみた荒い息遣いが響いてきた。
[Sensual]
[A:アリア:興奮]「あっ、ぁああっ! ガイウス様っ、もっと、もっと奥までぇっ!」[/A]
[Whisper]「いい声で鳴くじゃねえか、アリア。誰が一番強いか、その身体の芯に教えてやる」[/Whisper]
[Heart]
[A:アリア:興奮]「はいっ、私、あなたの、あなたのものですぅっ!」[/A]
[/Sensual]
泥を握りしめる両手に、ギリッと爪が食い込む。
掌が裂け、滲み出した温かい血が、冷たい泥水と混ざり合う。
純白の聖女服を纏い、金糸のロングヘアを揺らして、いつも「ロイド、ずっと一緒だよ」と微笑んでいた幼馴染の残影。
それが今、天幕の向こう側で、王都出身の偉大な勇者の下で卑猥な形に歪んでいる。
[Impact]追放。[/Impact]
数時間前に投げつけられた言葉が、鼓膜の裏にへばりついて離れない。
役立たずの荷物持ち。虫ケラ以下の存在。
黄金の鎧に身を包んだガイウスの、傲慢に歪んだ金髪碧眼が、ゴミを見下ろすようにロイドを鼻で笑った。
アリアは碧眼を伏せ、権威という圧倒的な力の影に隠れて震えている。
自分を見捨てるという、甘美な保身の蜜を啜りながら。
[Tremble]奥歯が砕けるほど噛み締める。[/Tremble]
視界が赤黒く明滅し、胃の腑からマグマのような熱がせり上がってくる。
くたびれた漆黒のローブの下で、痩せこけた身体が異様な律動を始めた。
[Flash]パキンッ![/Flash]
脳の髄の奥深くで、何かが決定的に砕け散る音がした。
純粋な愛情、幼い頃の約束、ちっぽけな良心。
そのすべてが崩落した隙間に、底なしの黒い泥が流れ込んでくる。
[System]
警告:精神の崩壊を検知。
隠しパラメーター『復讐の渇望』が閾値を突破。
古代禁忌領域へのアクセスを許可します。
スキルツリー『淫魔の呪術』が解放されました。
[/System]
[Think]……ああ、そうか。[/Think]
ゆっくりと、泥だらけの顔を上げた。
額に張り付いた黒髪の隙間から覗く三白眼に、冷たい紫色の炎が灯る。
[A:ロイド:狂気]「奪われた痛み……その身の底まで味わえ」[/A]
血まみれの唇が、ひび割れた三日月のように吊り上がった。
足元の泥がボコボコと沸騰し、黒い瘴気となってロイドの全身を包み込んだ。
音もなく立ち上がり、闇の奥へ一歩を踏み出す。
最初の標的は決まっていた。
傲慢な勇者が力でねじ伏せ、歪な支配下に置いているあの女。
黄金の玉座にふんぞり返るかの如く、常に冷ややかな瞳でロイドを見下ろしてきた誇り高き魔法騎士――シルヴィア。

深夜。雨音だけが支配する野営地の外れ。
シルヴィアは自身の天幕で、一人浅い眠りについていた。
プラチナブロンドの髪が、上質な絹のシーツの上に無防備に散らばっている。
[Glitch]……ジリッ。[/Glitch]
テントの隙間から、濃密な紫色の靄(もや)が蛇のように這い入った。
それは熟れすぎた果実のような、甘く退廃的な香りを伴って天幕内の空気を侵食していく。
[A:シルヴィア:冷静]「……ん……。誰……?」[/A]
鼻腔をくすぐる異質な甘い匂いに、シルヴィアが微かに眉をひそめる。
だが、目蓋は鉛のように重く、指先一つ動かすことができない。金縛りに似た、しかし全く異なる泥沼のような脱力感。
[FadeIn]暗闇の中、ベッドの傍らに黒い影が音もなく浮かび上がる。[/FadeIn]
[A:ロイド:狂気]「こんばんは、シルヴィア。いつも俺にゴミを見るような目を向けていた、高潔なる騎士様」[/A]
[Impact]その声に、シルヴィアの心臓が大きく跳ねた。[/Impact]
追放したはずの無能な荷物持ち。ありえない。ここは勇者の張った強力な結界の内部だ。
[A:シルヴィア:怒り]「ろ、いど……? 貴様、なぜここに……っ! 衛兵……!」[/A]
[A:ロイド:冷静]「無駄だよ。この『淫夢の結界』の中では、君の声は誰にも届かない」[/A]
[Sensual]
ロイドの冷たい指先が、シーツ越しにシルヴィアの太ももをそっと撫で上げた。
「ひっ……!」
たったそれだけの接触。それなのに、シルヴィアの背筋を強烈な電流のような痺れが駆け上がり、脳髄を白く焼き焦がす。
[Whisper]「どうしたの? 虫ケラに触られたにしては、随分と可愛い声が出るじゃないか」[/Whisper]
ロイドの指が、布地の上からシルヴィアの柔らかい内腿をゆっくりと這い上がる。
その指先から流し込まれる紫色の魔力が、シルヴィアの理性をじわじわと溶かしていく。
肌が異常なほどの熱を持ち、呼吸が浅く、荒くなる。
拒絶しなければならない。剣を取ってこの下郎を斬り捨てなければ。
そう命じる頭脳とは裏腹に、彼女の肉体は恐ろしいほどの速度で『快楽』へと作り替えられていく。
[A:シルヴィア:恐怖]「や、やめろ……っ! 私に、何をした……!? 身体が、熱……っ」[/A]
[A:ロイド:興奮]「『淫魔の呪術』さ。君のその誇り高い精神を、快楽の泥に沈めるための魔法だよ」[/A]
ロイドの手が、シルヴィアの寝巻きの胸元を無造作に引き裂く。
冷たい夜気に晒された白い双丘。しかし、恐怖を感じるはずのその場所には、すでに抗いがたい疼きが集中していた。
ロイドの顔が近づき、冷たい唇が熱を持った首筋に吸い付く。
[Pulse]ドクンッ、ドクンッ![/Pulse]
「ああっ……! ぁ、だめ、ああっ!」
鋭い牙が肌を甘噛みするたび、シルヴィアの視界の端が赤く明滅する。
自分でも聞いたことのない、甘く、媚びるような吐息が唇から漏れ出た。
シーツを握りしめる指先が痙攣し、閉じた両足がもどかしげに擦れ合う。
[Whisper]「……もう、完全に準備ができてるね。君の身体は、勇者の命令なんかより、俺の魔法に忠実だ」[/Whisper]
ロイドの指が、濡れそぼったシルヴィアの最奥へと滑り込む。
「ひぃいいいっ!!」
凄まじい快感の波が、シルヴィアの脊髄を一直線に駆け上がった。
背中が弓なりに反り、金色の瞳の焦点が完全にぼやける。
高潔な騎士としてのプライドが、どろどろの蜜に溶けて流れ出していく。
[A:シルヴィア:絶望]「こんなのっ、おかしいわ……! 嫌、嫌ぁっ……でも、もっと、もっと触ってぇっ!」[/A]
[A:ロイド:狂気]「いい子だ。たっぷり教えてやるよ。俺をゴミのように捨てたこと、後悔すらできない身体にしてやる」[/A]
ロイドの呪われた熱が、シルヴィアの花芯を無慈悲に穿つ。
「ああああああっ!!」
鼓膜が破れるほどの自身の甲高い絶叫を聞きながら、シルヴィアの理性は完全に決壊した。
止めどなく溢れる涎。だらしなく開かれた口。
勇者への忠誠は、眼前の追放者へ向けた圧倒的な『服従と快楽』へと完全に書き換えられた。
[/Sensual]

翌朝。
雨の上がった野営地に、清々しい朝日が差し込む。
[A:ガイウス:怒り]「おいシルヴィア! 出発の準備はまだか!」[/A]
黄金の鎧を鳴らし、苛立った様子で天幕に入ってきたガイウス。その後ろには、おどおどとしたアリアが付き従っている。
だが、彼らが目にしたのは、信じられない光景だった。
天幕の中央。
くたびれた漆黒のローブを羽織ったロイドが、優雅に椅子に腰掛けている。
そして、彼の手元から伸びた鎖の先。
誇り高き魔法騎士であったはずのシルヴィアが、衣服すら身につけず、恍惚とした表情でロイドの足元に這いつくばり、犬のようにその靴先を舐め上げていた。
[A:ガイウス:驚き]「なっ……!? き、貴様……ロイド!? なぜここにいる! シルヴィア、何をしているんだ!」[/A]
ガイウスの怒号にも、シルヴィアは一切反応しない。ただ、ロイドに撫でられるたびに「はぁっ、ご主人様ぁ……っ」と甘い声を漏らすだけだ。
[Tremble]アリアの顔から、さっと血の気が引く。[/Tremble]
かつて見下していたはずの幼馴染から放たれる、底知れぬ魔力と圧倒的な支配のオーラ。
[A:ロイド:冷静]「おはよう、ガイウス。それに、アリア」[/A]
ロイドは立ち上がり、怯えるアリアと、混乱するガイウスに向かってゆっくりと歩み寄る。
紫色の三白眼が、極上の獲物を見つけた獣のように細められた。
[A:ロイド:狂気]「さあ……復讐の続きを始めようか。お前たちのすべてを、俺の泥で染め上げてやる」[/A]
[Impact]絶望の連鎖は、まだ始まったばかりだった。[/Impact]