薄暗い地下の冷気が、剥き出しの肌を這い上がってくる。
手首と足首に深く食い込む分厚い鉄の枷。身じろぎするたび甲高い音が石室に反響し、生臭い血の匂いを振り撒いた。
ボロボロに引き裂かれた黒い貴族服の隙間から覗く、無数の古い傷跡。かつて北部の旧領で誇り高く剣を振るった証は、今はただ無力な自分を嘲笑う烙印だ。
銀髪の癖毛が汗と泥にまみれて額に張り付く。カイル・アッシュは虚ろな青い瞳に微かな、しかし決して消えることのない反抗の光を宿し、目の前の闇を睨みつけた。
[A:カイル・アッシュ:怒り][Shout]「俺の魂までは……絶対に、誰にも渡さない……っ!」[/Shout][/A]
[Tremble]鎖が軋む。[/Tremble]
全身の筋肉を硬直させ、激痛に耐えながら自由を奪う鉄塊を引きちぎろうともがく。
だが、その泥臭い抵抗をあざ笑うかのように、規則正しい軍靴の響きが冷たい石畳を叩いた。
闇から滲み出たのは、漆黒の軍服に身を包んだ女。
血のような真紅の長髪が微風に揺れ、抜けるように青白い肌が冷たい月明かりに照らし出される。
エルザ・フォン・シュヴァルツ。
這いつくばる羽虫を観察するような底知れぬ傲慢さ。骨の髄まで支配し尽くそうとする、泥濘のような執着。鋭い三白眼が、カイルを冷徹に見下ろしていた。
[A:エルザ・フォン・シュヴァルツ:冷静]「這いつくばれ。そして、身の程を知れ」[/A]
軍靴の硬い先端が、カイルの顎を無慈悲に跳ね上げる。
[Impact]ガッ、と鈍い音が脳髄を揺らし、口腔内に鉄錆の味が散った。[/Impact]
視界が明滅する中、エルザは革手袋に包まれた指で銀髪を無造作に掴み、強引に引き寄せる。
鼻腔を麻痺させるほど甘く重い香水と、凍てつく魔力の匂い。
[Sensual]
[A:エルザ・フォン・シュヴァルツ:興奮][Whisper]「お前のすべては私のものだ。その震える指先ひとつさえもな」[/Whisper][/A]
赤い唇が、耳元で歪な弧を描く。
ぞくり。背筋に氷をねじ込まれたような悪寒。
エルザは襟元を乱暴に引き裂き、脈打つ首筋に冷たい指を這わせた。
[Pulse]ドクン、ドクン。[/Pulse]
高鳴る心音を確かめるように、爪先が頸動脈をゆっくりとなぞる。
[A:カイル・アッシュ:恐怖][Tremble]「やめ……ろ……っ!」[/Tremble][/A]
[Think]逃げなければ。この女に、奥底まで喰い尽くされる。[/Think]
だが、エルザの口元が妖しく歪んだ瞬間。白く鋭い牙が、無防備な肉へと深く突き立てられた。
[Flash]――っ!![/Flash]
[A:カイル・アッシュ:狂気][Shout]「あ、あああぁぁぁぁぁぁっ!!」[/Shout][/A]
肉を裂き、血管を直接貫く鋭利な痛み。
しかし、悲鳴は長くは続かない。
牙から血液へと直接流し込まれたのは、どろりとした熱を帯びた『呪毒』。
[System]【ステータス異常:強制発情】が付与されました。[/System]
激痛が、一瞬にして甘く痺れるような熱に反転する。
瞳孔が限界まで開き、酸素を求めるようにカイルの口がパクパクと動いた。
「あ……、はぁ……っ、ぁ……!」
脳の芯が泥のように溶かされる。抗いようのない快楽の波が、背髄を駆け巡った。
エルザの冷たい指先が、火照り始めた胸元から下腹部へとゆっくり滑り落ちていく。
僅かな摩擦。それだけで肌の表面が粟立ち、全身がビクンッと大きく跳ねた。
[Heart]ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ![/Heart]
異常な速度で脈打つ心臓。媚薬の呪いを、血液と共に全身の末端まで運び続ける。
[A:エルザ・フォン・シュヴァルツ:愛情][Whisper]「いい鳴き声だ。痛いか? それとも……蕩けそうか?」[/Whisper][/A]
耳元を掠める熱い吐息。
屈辱の涙が、青い瞳からポロポロとこぼれ落ちる。
抗おうと強く歯を食いしばる。だが、口の端からは銀色の糸を引き、己の意志に反して甘ったるい喘ぎが漏れ出た。
[A:カイル・アッシュ:絶望][Tremble]「ちが、う……こんな、の……っ……あぁっ!」[/Tremble][/A]
[/Sensual]
意識が白濁し、視界の端がぐにゃりと歪んでいく。
極彩色の泥濘の中、冷たい金属音が響いた。
チャリン。チャリン。
闇の奥。メイド服を異様に改造した拘束衣に身を包んだ少女が、太い鎖を引きずりながら近づいてくる。
ピンク色のボブカット。光の無い虚ろな瞳。ピクピクと痙攣するカイルの姿を、彼女はねっとりと舐め回した。
[A:リリア・ベル:狂気]「ふふっ、痛いですか? でも、それで私から逃げられなくなりますねぇ」[/A]

[Sensual]
湿気を帯びた地下室の寝所。
四肢を太い革ベルトでベッドの四隅に固定されたカイルは、口から荒い熱を吐き出しながら全身をよじっていた。
肌は異常な高熱を発している。汗がボロボロの布地を濡らし、肉に張り付く。
呼吸をするたびに胸郭が大きく上下し、吐き出される空気すらも焦げるような熱を帯びていた。
[A:リリア・ベル:興奮][Whisper]「カイルお兄様……汗だくですぅ。私が、隅々まで綺麗にしてあげますね」[/Whisper][/A]
リリアの手には、氷のように冷たい銀の鎖。
彼女はベッドに這い上がり、カイルの足の間に跨がった。
メイド服の胸元から覗く白い肌が、薄暗いランプの光を弾く。
冷え切った鎖が、燃えるような首筋から、汗ばむ胸板、そして敏感な脇腹へとねっとり擦りつけられる。
[A:カイル・アッシュ:恐怖][Shout]「やめろ……っ! 触るな……っ、はぁっ、あ……!」[/Shout][/A]
[Impact]凍てつく冷気と、焼け付く熱。[/Impact]
相反する感覚が交差するたび、カイルの脳髄で鋭い火花が散った。
リリアは鎖をさらにきつく巻きつけ、震える肌に小さな赤い痕を刻み込んでいく。
[A:リリア・ベル:愛情]「逃がさない……。もっと、もっと痛くして、私だけの痕をつけてあげますぅ……」[/A]
舌先が、鎖の擦れて赤くなった肌をねっとりと舐め上げる。
ザラリとした舌触り。生温かい唾液。
与えられる限界ギリギリの焦らしに、カイルの呼吸は浅く、そして早くなっていく。
耳の裏から太ももの内側にかけて。指が這うたびに、ビクンビクンと肉体が無様な反応を返した。
[Think]駄目だ。理性が……焼き切れる……っ。[/Think]
[Glitch]イヤダ、コノママジャ、オカシクナル。[/Glitch]
[A:カイル・アッシュ:絶望][Tremble]「んぁ……っ、もう、やめ……っ……あぁぁっ……!」[/Tremble][/A]
己の口から出たとは思えない、情けない嬌声。
腰が勝手に跳ね上がる。鎖がこすれる痛覚すらも、快感として脳が誤認し始めている。
指先がシーツを掻きむしり、爪が割れるのも構わず、更なる接触を渇望してしまっていた。
[A:リリア・ベル:狂気][Whisper]「ふふっ、身体は正直ですねぇ。もっと、いじめてほしいって、下半分が泣いてますぅ」[/Whisper][/A]
[/Sensual]
極限の焦燥に狂いそうになる中。ギィィッ、と重い金属の扉が開く音が室内に響いた。
廊下の冷たい空気が流れ込む。微かな乳香の匂い。
カイルは涙で霞む視界で、扉の前に立つ人影を見つめた。
純白の修道服。金髪の三つ編み。
辺境の修道院で神に仕えるはずの神官、マリア・ローザ。
慈愛に満ちた彼女なら、この狂った檻から救い出してくれる。
だが、そのかすかな期待は一瞬にして粉砕された。
マリアの足取りはフラフラとおぼつかない。大きく開いた修道服の胸元からは、豊満な双丘が激しく上下している。
潤んだ翠の瞳は妖しく濁っていた。常に火照った頬には、異常なまでの発汗。
彼女の視線は、カイルから放たれる『呪毒』の甘い匂いに、完全に釘付けになっていた。
[A:マリア・ローザ:狂気][Tremble]「神よ、お赦しください……この罪深い熱が、どうしても収まらないのです……っ!」[/Tremble][/A]

[Sensual]
マリアは祈るように両手を組んだまま、ベッドの傍らに崩れ落ちた。
十字架を握る指先は白くなるほど力が込められている。だが、その目はカイルの熱を帯びた肌から目を離せない。
室内に充満する媚薬の香りが、彼女が長年抑圧してきた生まれつきの淫乱な気質を、容赦なく暴き立てていく。
[A:マリア・ローザ:悲しみ][Whisper]「いけない……こんなこと……破戒の罪に、堕ちてしまう……っ」[/Whisper][/A]
涙を流し、首を横に振るマリア。
しかし、彼女の手は自らの意志とは裏腹に、カイルの汗ばむ太ももの内側へと伸びていた。
指先が触れた瞬間。ビクンッ、と跳ねる体温。
その熱がマリアの指先から伝わり、彼女の脳天を貫いた。
[Flash]理性の糸が、ブツリと音を立てて切れた。[/Flash]
[A:マリア・ローザ:興奮][Shout]「あぁっ……あぁぁっ! カイル様……っ、熱い、熱いです……っ!」[/Shout][/A]
聖女の仮面は完全に剥がれ落ちた。
マリアは純白の修道服の裾を乱暴に捲り上げる。自らの濡れそぼった粘膜を擦りつけんばかりに、カイルへとすがりついた。
[Magic]《癒しの聖光》[/Magic]
彼女の無意識の治癒魔法が発動し、淡い光がカイルを包み込む。
だが、それは傷を癒すとともに、彼の敏感な神経をさらに過敏に増幅させる地獄の光だった。
[A:カイル・アッシュ:狂気][Tremble]「ひ、あぁっ!? や、やめろ、それ以上……おかしくなる……っ!!」[/Tremble][/A]
治癒魔法の光を浴びた肌は、空気が触れるだけでも火花が散るような激しい快感を生み出す。
そこに、リリアの冷たい鎖が巻き付く。痛覚と快感が混濁した劇薬となって、カイルの脳髄を直接殴りつけた。
[A:リリア・ベル:怒り]「マリア……抜け駆けはずるいですぅ。お兄様は、私のものなのに」[/A]
[A:マリア・ローザ:愛情][Whisper]「いいえ、いいえ……私がお救いします……。この身をすべて捧げて、深く、奥底まで満たし合って……っ」[/Whisper][/A]
二人の女が、狂ったようにカイルの肉体を奪い合う。
首筋にリリアの歯が食い込み、血の味が広がる。
同時に、マリアの豊かな胸の谷間がカイルの顔を埋め、息ができないほどの甘い匂いで肺を満たした。
[Heart]ドクンッ! ドクンッ! ドクンッ![/Heart]
過剰な刺激の連続。カイルの瞳孔は完全に開ききり、口からは意味を成さない涎と喘ぎだけが垂れ流される。
そこへ、エルザがゆっくりと歩み寄ってきた。
彼女は二人の女が群がるベッドを見下ろし、満足げに目を細める。
[A:エルザ・フォン・シュヴァルツ:興奮]「素晴らしい。高潔な聖女が泥にまみれ、私の犬が首輪を喜んでいる。……すべて、私の手のひらの上だ」[/A]
エルザは革手袋を外し、むき出しになった冷たい指でカイルの顎を掴んだ。
強引に上を向かせ、赤く塗られた唇をカイルのそれに押し当てる。
[Pulse]舌が侵入し、唾液が絡み合う生々しい水音。[/Pulse]
チュッ、ジュルッ……。
[A:カイル・アッシュ:絶望][Blur]「ん……っ、んぐ……ぁ……っ」[/Blur][/A]
酸素を奪われ、エルザの口内から再び濃厚な呪毒が流し込まれる。
背筋を駆け上がる甘い痺れ。
脳の芯が完全に融解する。視界を極彩色のノイズが覆い尽くしては、深い闇へと堕ちていく。
駄目だ、抗わなければ。俺の魂は――。
だが、与えられる圧倒的な快楽の濁流の前に、その微かな意志は塵のように吹き飛ばされた。
[A:エルザ・フォン・シュヴァルツ:愛情][Whisper]「もう抗うな。お前は私の所有物。永遠に、この蜜園で快楽を貪り続けるだけの存在だ」[/Whisper][/A]
エルザの手が、カイルの雄々しく熱を持った昂ぶりを強く握りしめる。
リリアの鎖が全身を縛り上げ、マリアの柔らかな花弁が彼の肌に密着して離れない。
三人の女たちが放つ異常な独占欲と、粘着質な愛撫の絡み合い。
[Impact]限界だった。[/Impact]
[A:カイル・アッシュ:狂気][Shout]「あ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」[/Shout][/A]
脳髄が焼け焦げるような、地獄と天国が入り混じった絶頂。
白き熱が迸り、カイルの身体はビクンビクンと激しく痙攣を繰り返した。
青い瞳から完全に光が失われる。ただ快楽だけを貪る、壊れた人形への堕落。
[/Sensual]
すべてが極彩色の快楽に塗り潰された果て。
虚ろなまま息を荒げるカイルを、エルザが優しく、そして底知れぬ支配欲に満ちた腕で抱き込んだ。
[A:エルザ・フォン・シュヴァルツ:冷静]「……これで、完成だ」[/A]
冷たい石室の中に、ガチャン、と重々しい金属音が響き渡る。
それは、絶対に逃げ出すことのできない鳥籠の鍵が、永遠に閉ざされた音。
カイルの頬を伝う一筋の涙が、暗闇の中へと静かに吸い込まれていった。
無慈悲な静寂の中、狂気に染まった女たちの粘つくような甘い吐息だけが、いつまでも、いつまでも響き続けている。
[System]【対象の自我崩壊を確認。完全隷属ルートへ移行します。】[/System]
[FadeIn]……もう、誰にも渡さない。[/FadeIn]