硝子の檻、蜜の執着

硝子の檻、蜜の執着

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第一章 氷の女王の亀裂

午前二時。都心の摩天楼、その最上階にあるオフィスは、死んだように静まり返っていた。

窓の外を叩く雨音が、深夜の孤独を一層際立たせる。

「……まだ、帰らないんですか」

背後から掛かった声に、私はビクリと肩を震わせた。

振り返ると、そこには漆黒の瞳をした私の部下、蓮(れん)が立っている。

「蓮くん。驚かせないで」

私は努めて冷静な声を装い、デスク上の資料に視線を戻した。

クリエイティブディレクターとしての私の仮面。完璧で、冷徹で、誰にも隙を見せない「氷の女王」。

それが社内での私の呼び名だ。

「玲子さんこそ。その指輪、重くないんですか?」

蓮が私のデスクに歩み寄り、冷たい指先で私の左手を覆った。

薬指に光るプラチナのリング。

来月結婚する予定の、商社マンの彼から贈られたものだ。

堅実で、穏やかで、刺激のない未来の象徴。

「仕事の邪魔よ。戻って」

手を振り払おうとしたが、蓮の力は思いのほか強かった。

華奢に見える彼の腕には、隠された獣のような筋肉が張り詰めている。

「そんな男、あなたを満たせない。玲子さんが欲しがってるのは、安心じゃなくて……こういうことでしょう?」

耳元で囁かれた低音。

鼓膜が痺れ、背筋を熱い電流が駆け抜ける。

彼は私の椅子を強引に回転させ、逃げ場のないデスクと彼の体の間に私を閉じ込めた。

冷房の効いた室内のはずなのに、彼から発せられる熱気が、私の理性をじりじりと焦がしていく。

第二章 剥がされる理性

「やめ……誰か来たら……」

「誰も来ませんよ。セキュリティはロックしました」

蓮の顔が近づく。

普段は子犬のように人懐っこい笑顔を見せる彼が、今は獲物を狙う捕食者の目をしている。

そのギャップに、恐怖と――抗いがたい興奮が、下腹部の奥底で疼き始めた。

彼は私のシルクのブラウスの第一ボタンに指を掛けた。

ゆっくりと、焦らすように外していく。

「っ……!」

「良い声だ。会議中の冷たい玲子さんからは想像もできない」

衣擦れの音が、静寂の中でやけに大きく響く。

露わになった鎖骨に、彼が熱い唇を押し当てた。

肌が粟立つ。

吸い付くようなキスの感触が、脳髄を直接揺さぶってくる。

「だめ、そこは……跡が……」

「付けますよ。あの男に見せつければいい」

彼の掌が、ブラウスの上から私の胸の膨らみを鷲掴みにした。

乱暴なようでいて、ツボを心得た指の動き。

薄い布越しに尖りを弄られ、私の口から情けない吐息が漏れた。

彼の支配的な態度は、私の奥深くに眠っていたマゾヒズムを容赦なく暴き立てる。

完璧であろうと張り詰めていた糸が、プツンと音を立てて切れた。

第三章 背徳のデスク

蓮は私をデスクの上に押し上げた。

ひやりとしたガラスの感触が背中に広がるのと同時に、股間には耐え難いほどの熱が集中する。

「見てください。こんなに濡れてる」

彼は私のタイトスカートのファスナーを下ろし、躊躇なくその奥へと手を滑り込ませた。

ストッキング越しに伝わる指の熱。

秘められた場所は、すでに蜜で溢れ、彼の指を迎え入れる準備を整えてしまっていた。

「いや……見ないで……」

恥辱で顔を覆う私の手首を、彼は片手で頭上にねじ伏せる。

視界を遮るものを奪われ、私は彼の欲望に満ちた瞳と対峙させられた。

「隠さないで。あなたがどれだけ乱れているか、その目で確認してください」

彼の指が、私の最も感じやすい一点を執拗に責め立てる。

粘つくような水音が、雨音に混じって響く。

「あッ、ぁ……! れ、ん……!」

名前を呼ぶと、彼の瞳がさらに暗く濁った。

「もっと。もっと鳴いて」

焦らしの時間は終わりを告げた。

彼が自身のベルトを解く音が聞こえる。

金属の擦れる音が、死刑宣告のように、あるいは救済のように聞こえた。

彼が私の両脚を強引に割り開く。

その間に割り込んだ彼の熱い楔が、私の入口を小突いた。

「もう、戻れませんよ」

その言葉と共に、彼が腰を沈める。

第四章 蜜の楔

「んっ、ぐぅ……ッ!」

息が止まるほどの衝撃。

彼という異物が、私の内側を強引に押し広げ、空白を埋め尽くしていく。

痛みに近いほどの快楽が、脊髄を駆け上がり、視界が白く明滅した。

「きつい……玲子さん、すごい吸いつきだ」

彼は一度動きを止め、私の耳元で荒い息を吐いた。

繋がった部分から、彼の脈動が直接伝わってくる。

私は完全に串刺しにされ、彼の支配下に置かれていた。

「動い、て……お願い……」

プライドも、婚約者の存在も、すべてが彼の中の熱に溶かされていく。

私が懇願すると、彼は獰猛に笑い、激しく腰を打ち付け始めた。

ガンッ、ガンッ、とデスクが揺れる。

最奥を容赦なく突き上げられるたび、私は獣のような声を上げて身をよじった。

思考などできない。

ただ、波のように押し寄せる快楽に溺れ、彼にしがみつくことしかできなかった。

「ああっ、ダメ、そこっ、壊れちゃうッ!」

「壊れろ。僕だけでいいって、身体に教え込んでやる」

突き上げの角度が変わる。

彼が私の敏感な場所を正確に狙い撃ち、内壁を擦り上げる。

蜜壺がかき回され、私の理性は完全に崩壊した。

「イくッ、イくぅッ!!」

絶叫と共に、私は弓なりになって弾けた。

目の前が真っ白になり、全身が痙攣する。

その収縮を感じ取った彼もまた、私の最奥に熱い飛沫を解き放った。

第五章 檻の中の幸福

嵐が過ぎ去った後のオフィス。

私は乱れた衣服のまま、蓮の腕の中で荒い息を整えていた。

左手の薬指にあったはずのプラチナリングは、冷たい床に転がっている。

もう、二度とあんな退屈な鳥籠には戻れない。

「玲子さん」

蓮が汗ばんだ髪をかき上げ、満足げに微笑んだ。

その笑顔は、かつての後輩のものではなく、私のすべてを所有する主人のそれだった。

「あなたはもう、僕のものです」

彼は私の首筋に、所有の証となる深いキスマークを刻み込んだ。

私は力なく頷き、その背中に腕を回す。

窓の外、雨はまだ降り止まない。

けれど、この硝子の檻の中で、私はかつてないほどの充溢感に満たされていた。

それは背徳と引き換えに手に入れた、甘く危険な蜜の味だった。

AI物語分析

【主な登場人物】

  • 玲子 (34): 才色兼備のクリエイティブディレクター。「氷の女王」として完璧を演じているが、内面は孤独と欲求不満を抱える。退屈だが安定した婚約者がいる。
  • 蓮 (24): 新人デザイナー。表向きは人懐っこい「子犬系」だが、本性は支配欲が強く、観察眼に優れた捕食者。玲子の本質を見抜き、崇拝と加虐心をない交ぜにした執着を抱く。

【考察】

  • 「硝子の檻」のメタファー: 玲子が閉じ込められている「社会的な成功」や「世間体の良い結婚」という透明な鳥籠を象徴すると同時に、物理的なオフィスの窓、そして蓮に囲い込まれる状況を二重三重に意味している。
  • 支配の逆転: 職場では「上司と部下」という序列(玲子>蓮)だが、性的な関係においては「雌と雄」「支配される者と支配する者」(蓮>玲子)へと鮮やかに逆転するカタルシスを描いている。
  • 「雨」の役割: 外界との遮断を強調し、二人だけの密室性、そして湿度の高い官能的な空気を演出する舞台装置として機能している。
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