第一章: 失墜と覚醒
泥水が口腔を蹂躙し、鉄錆の味が喉を焼く。冷たい雨。容赦なく降り注ぐそれは、ぬかるんだ地面に倒れ伏した身体から、わずかに残る体温さえも奪い去っていく。
視界を遮る、濡羽色の長い髪。頬に張り付く不快感。痩せこけた肋骨が浮き出る胸元には、かつて誇らしげに掲げていたパーティの紋章などない。あるのは、泥にまみれ、青白く晒された皮膚だけ。
指先の感覚はとうに消え失せ、視界は灰色の霧に閉ざされかけている。
[A:エリス・フォン・ローゼンバーグ:怒り]「……本当に役立たずだな、お前は。支援術師が前衛の邪魔をしてどうする?」[/A]
脳裏に蘇る、プラチナブロンドの残像。見下ろしてくる冷徹な碧眼。
[A:ソフィア・メルクリウス:冷静]「神の御導きですわ、クラウスさん。貴方のような穢れた魂は、この聖なる冒険には不要なのです」[/A]
慈愛を装った仮面の下。唇の端を歪めて嘲笑っていた水色の髪の女。
[Shout]畜生……ッ![/Shout]
泥を握りしめた拳に、鋭利な石が食い込む。鮮血。痛みだけが、まだ生きているという唯一の証拠。
ここは魔境のダンジョン最深部「奈落の掃き溜め」。装備はおろか衣服さえ剥ぎ取られ、全裸同然で捨てられた場所。魔物の餌として。
その時だ。崩れかけた石壁の隙間に、異質な「闇」が蠢いているのが見えた。
苔むした岩肌ではない。それは革装丁の書物。どす黒いオーラを纏い、まるで呼吸をするように脈動している。
這いつくばり、震える指先を伸ばす。触れた瞬間、脳髄に焼きごてを当てられたような衝撃。
[System]《条件達成:絶望と憎悪の共鳴》
ユニークスキル『神経掌握(ナーヴ・ジャック)』を習得しました。[/System]
[A:クラウス・イングラム:狂気]「は……はは……」[/A]
漏れ出る乾いた笑い。
奔流となって流れ込む知識。対象の五感を支配し、痛覚を快楽へ、恐怖を法悦へと書き換える冒涜的な術式。
目前に現れる、牙を剥いた狼型の魔物。滴る涎。飢えた目が、こちらの喉元を狙っている。
以前の私なら恐怖に震えていただろう。だが今は――。
包帯など巻かれていない、傷だらけの右手をかざす。
[A:クラウス・イングラム:冷静]「……実験台になってくれますね?」[/A]
[Magic]《感覚反転・苦痛の甘蜜(ペイン・トゥ・プレジャー)》[/Magic]
魔物が飛びかかろうとした刹那、その巨躯が空中で硬直した。
[Shout]ギャ……アァァンッ!?[/Shout]
悲鳴ではない。それは、獣が発するとは思えないほど艶めかしい、陶酔の鳴き声。
四肢が痙攣し、白目を剥いて地面に転がる。ただ立っているだけで感じる重力、風が毛皮を撫でる刺激、その全てが脳を焼き切るほどの快楽信号へと変換されているのだ。
[A:クラウス・イングラム:冷静]「素晴らしい……。これなら、あの高慢な英雄たちも、きっと気に入るでしょう」[/A]
暗闇の中。私の瞳だけが、昏い悦びの光を宿していた。
◇◇◇
第二章: 見えない侵食
王都の広場は、魔物の襲撃により阿鼻叫喚の巷と化していた。
行商人の護衛として身を隠し、黒いローブを目深に被った私。喧騒から離れた時計塔の上、眼下の光景を睥睨する。
広場の中央、銀色の軽鎧を纏った金髪の騎士が、大剣を振るっている。
エリス・フォン・ローゼンバーグ。相変わらず、無駄に派手な剣技だ。だが、精彩を欠くその動き。私の支援魔法(バフ)がない彼女など、ただの燃費の悪い戦士に過ぎない。
[A:エリス・フォン・ローゼンバーグ:怒り]「くっ、なぜだ!? 身体が重い……剣が、走らない!」[/A]
[A:ソフィア・メルクリウス:恐怖]「エリス、下がってください! 回復が追いつきませんわ!」[/A]
後方で杖を掲げるソフィアも、額に脂汗を浮かべている。
今こそ、復讐の幕開け。
手摺りに肘をつき、指先を指揮者のように優雅に振る。
[A:クラウス・イングラム:冷静]「プレゼントですよ。感度三千倍の世界へようこそ」[/A]
[Magic]《神経過敏(ハイパー・センシティビティ)・常時発情(ヒート・アップ)》[/Magic]
[Sensual]
瞬間、エリスの動きがピタリと止まる。
「あっ……!?」
短く息を呑む彼女。
鋼鉄のガントレットが手首を締め付ける感触。それはまるで熱を持った男の手指のようにねっとりと肌に食い込み、粘膜を撫で上げる。
剣を振るうたびに発生する振動。掌から腕を伝い、脊髄を駆け巡って、秘めたる最奥の蕾を強烈に震わせる。
「な、なに……これ……」
戦いの最中だというのに、朱に染まるエリスの頬。
鎖帷子が乳房の先端を擦るたびに、電流が走るような痺れが全身を貫く。硬い金属の冷たさが、逆に火傷しそうなほどの熱量となって、下腹部を疼かせた。
「や、やめ……動く、な……!」
その場に膝をつき、股間を太腿で挟み込むようにして蹲る。
銀の軽鎧の下、豊満な双丘が激しく上下し、漏れ出る荒い息遣い。
群衆が見守る中、勇者は剣を支えにすることさえ忘れ、自分の身体が発する甘い蜜の匂いに酔いしれ始めていた。
[/Sensual]
[A:ソフィア・メルクリウス:驚き]「エリス!? 何をしていますの、魔物が目の前に!」[/A]
[A:エリス・フォン・ローゼンバーグ:照れ]「ち、違う! 鎧が……身体が、おかしいのだ……ッ、ひぁッ!」[/A]
魔物の爪が鎧を掠める。本来なら衝撃と痛みが走るはずのその一撃が、彼女にとっては脳髄を蕩かす愛撫となった。
[Shout]あァァァッーーー!![Heart][/Shout]
戦場に響き渡ったのは、勇猛な咆哮ではなく、淫らな嬌声。
◇◇◇
第三章: 夜の治療室
路地裏に佇む古びた診療所。看板には「あらゆる不調、治します」の一文。
深夜、人目を忍んでその扉を叩いたのは、フードを目深に被ったエリスだった。
[A:クラウス・イングラム:冷静]「お入りください。鍵は開いています」[/A]
白衣を纏い、顔には認識阻害の魔術。医師として椅子に座る私。
エリスは足をもじもじとさせながら入室し、扉を閉めるなり、その場に崩れ落ちた。
[A:エリス・フォン・ローゼンバーグ:悲しみ]「た、頼む……治してくれ。身体が、熱くて……何かに触れるだけで、気が狂いそうになるんだ」[/A]
潤んだ瞳、定まらぬ焦点。昼間の戦闘以来、衣服の摩擦さえもが拷問に近い快楽となり、彼女を責め立て続けているのだ。
[A:クラウス・イングラム:冷静]「ほう。それは重症ですね。診察しましょう、服を脱いで」[/A]
[A:エリス・フォン・ローゼンバーグ:怒り]「なっ、貴様、勇者である私に何を……っ!?」[/A]
[A:クラウス・イングラム:冷静]「治療したくないのであれば、お帰りください。その熱に焼かれて死ぬのも自由ですが」[/A]
唇を噛み締め、屈辱に震える指で鎧の留め具を外すエリス。
カチャリ、と音が鳴るたびに、彼女の身体がビクンと跳ねる。
[Sensual]
露わになった肌は、熟れた果実のように赤く火照っていた。
手袋をはめた指先を、彼女の背筋に這わせる。
「ひっ……!」
海老反りになり、喉を反らすエリス。
「敏感になっていますね。体内に溜まった過剰な魔力が、熱となって暴走しているのです。出すしかありませんよ」
「だ、だす……? どうやって……」
「こうして、溢れさせるのです」
直接触れることなく、魔力の糸を操り、彼女の性感帯をピンポイントで刺激する。
見えない指が、脇腹を、首筋を、そして秘所の入り口を優しく、執拗に愛撫する。
「あ、あぁ……ッ、そこは、だめ……騎士の、誇りが……ッ」
「誇り? そんなものでこの快楽が止まりますか?」
強める魔力。
エリスの理性の堤防が、音を立てて決壊した。
「んあぁッ! もっと……もっと深く! 掻き回してくれぇぇッ!」
診療台のシーツを握りしめ、自分から腰を高く突き上げる彼女。かつて私を見下していた高潔な瞳は白濁し、涎が顎を伝って美しい胸の谷間へと滴り落ちる。
「おやおや、剣姫様ともあろうお方が。まるで盛りのついた牝犬ですね」
「ひいぃッ、はい、私は牝犬です……ッ! だから、もっと、熱い楔を……ッ!」
[/Sensual]
絶頂の波に飲まれ、言葉にならない悲鳴を上げて意識を飛ばす彼女。
その様を冷ややかに観察し、私はカルテに記録した。
[System]対象:エリス・フォン・ローゼンバーグ
屈服度:45%
精神依存プロセス:進行中[/System]
◇◇◇
第四章: 聖女の裏切りと堕落
王都の大聖堂。ステンドグラスから差し込む光の下、聖女ソフィアは祈りを捧げていた。
だが、その心にあるのは神への信仰ではない。満たされているのは、濁った好奇心。
昨夜、エリスが路地裏から戻ってきた時の様子。虚ろな目で、しかしどこか満ち足りた表情で、股間を濡らしていた姿。
ソフィアはそれに嫌悪感ではなく、強烈な嫉妬と興奮を覚えていた。
[A:ソフィア・メルクリウス:興奮]「エリスだけ……ずるいですわ。私にも、その秘密を教えてくださらないと」[/A]
そう呟き、祭壇の陰に潜んでいた私に気づくこともなく、自らの豊満な胸に手を這わせる。
[A:クラウス・イングラム:冷静]「おや、聖女様ともあろうお方が、神前で自慰ですか?」[/A]
黒いローブ姿で現れた私。ソフィアは驚きの声を上げるどころか、妖艶な笑みを浮かべた。
[A:ソフィア・メルクリウス:冷静]「あら、貴方でしたの。エリスをあんな風にしたのは。……ねえ、私と共犯者になりませんこと? あの堅物のエリスを堕とすなんて、最高の娯楽ですわ」[/A]
彼女は私がクラウスだと気づいていない。あるいは、どうでもいいと思っているのか。
どこまでも腐りきった女だ。
[A:クラウス・イングラム:冷静]「共犯者、ですか。いいえ、貴女にはもっと相応しい役があります」[/A]
[Magic]《幻覚支配(ミラージュ・ドミネーション)・背徳の聖域》[/Magic]
パチン、と指を鳴らす。
歪む視界。聖堂に並ぶ数多の聖人像が、全て醜悪なオークやゴブリンの姿に変貌する。そして、それら全てが勃起した欲望の塊を彼女に向けていた。
[A:ソフィア・メルクリウス:驚き]「な、なんですの、これは……いや、来ないで!」[/A]
[Sensual]
「神聖な場所で辱められる。それが貴女の望みでしょう?」
脳内に直接響く私の声。
幻覚の魔物たちが、透明な触手となってソフィアの神官服の中に侵入する。
「ああっ!? いや、そんな、聖女の私が……こんな……!」
深いスリットから伸びる白磁の太腿に、粘着質な触手が絡みつく。清廉な白の布地が、内側から溢れ出る愛液で透けていく。
「見てごらんなさい。信者たちが貴女を見ていますよ」
幻覚の中で、礼拝に訪れた群衆が、彼女の痴態を指差して嘲笑う。
「聖女様が発情しているぞ!」
「なんと淫らな!」
羞恥心が、逆に彼女の感度を爆発させる着火剤となる。
「見ないで……でも、もっと見て……ッ! あぁぁ、神様、許して……こんなに、気持ちいいなんて……ッ!」
祭壇に手をつき、聖典の上に涎を垂らしながら、自ら神官服をはだけさせて腰を振るソフィア。
「ダメですわ、ダメですわ……アヘェッ[Heart]」
[/Sensual]
聖なる場所は、瞬く間に背徳の宴会場へと変わり果てた。
◇◇◇
第五章: 永遠の傀儡
魔王討伐の祝賀会。王城の大広間は、煌びやかなシャンデリアと貴族たちの談笑で満たされていた。
その中央、英雄として立つエリスとソフィア。だが、その瞳に光はない。
正装に身を包み、悠然と彼女たちの前に歩み出る私。
かつて私を追放した時と同じように、彼女たちは壇上にいる。だが、立場は完全に逆転していた。
[A:クラウス・イングラム:冷静]「お久しぶりですね、皆さん」[/A]
フードを取り、素顔を晒す。ざわめく会場。
「あれは……追放された支援術師?」
「なぜここに?」
弾かれたように顔を上げるエリスとソフィア。
その目に宿ったのは憎悪ではない。絶対的な主人を見つけた、忠実な家畜の歓喜。
[System]《完全支配完了》
対象:エリス、ソフィア
状態:絶対隷属[/System]
指を鳴らす。それは合図。
[Sensual]
ガシャン、と音を立てて、エリスがその場に跪いた。
続き、ソフィアもドレスの裾を乱して床に額を擦り付ける。
「あ、主人様……お待ちしておりました……」
恍惚とした表情で、私の革靴に頬ずりをするエリス。高潔な勇者の面影は微塵もない。ただ、主人の温もりを求める雌の顔があるだけだ。
「お願いですわ、ご主人様。早く……早く魔力を充填してくださいまし……もう、渇いて、死んでしまいそうですの……」
私の足に抱きつき、懇願するソフィア。その瞳はハートの形に歪んで見えた。
衆人環視の中、英雄と呼ばれた二人が、一人の男の靴を舐め、愛を乞うている。
会場は静まり返り、恐怖と、そして隠しきれない情欲の熱気に包まれた。
[/Sensual]
[A:クラウス・イングラム:冷静]「……これが、君たちが守りたかった世界の結果ですよ」[/A]
二人の頭を撫でる。その瞬間、彼女たちはビクンと身体を震わせ、至上の幸福に浸った表情で白濁した吐息を漏らした。
復讐は果たされた。
彼女たちは二度と、私なしでは生きられない。呼吸をするのと同じように、私の愛撫を、折檻を、支配を求め続けるだろう。
だが、私もまた知っていた。
この歪みきった愛欲の沼に、誰よりも深く沈んでいるのは、彼女たちをここまで作り変えてしまった私自身なのだと。
[A:クラウス・イングラム:冷静]「さあ、帰りましょうか。夜はこれからです」[/A]
[A:エリス・フォン・ローゼンバーグ:愛情]「はい……ずっと、貴方様の玩具です……[Heart]」[/A]
[A:ソフィア・メルクリウス:愛情]「永遠に、貴方様だけの聖女(どれい)ですわ……[Heart]」[/A]
月明かりの下、私たちは寄り添うように闇へと消えていった。二人の英雄が跪く、終わりのない夜へと。