第1章:灰の降る夜に

空から降るのは雪ではない。
街を焼き尽くした、命の燃えかすだ。
[A:シオン:怒り][Shout]「どうして、ここまで……!」[/Shout][/A]
[Impact]瓦礫が砕け散る。[/Impact]
シオンの細い肩が激しく上下していた。その手の中で、銀色の銃身がカタカタと鳴っている。震えているのだ。恐怖か、それとも。
[A:レイ:冷静]「……終わったんだよ、シオン」[/A]
レイは歩み寄る。足元の灰が、ざり、と音を立てた。
鉄の匂い。焦げた肉の異臭。
世界はすでに死んでいる。
[A:ミハル:冷静]「無駄な足掻き。さっさと息の根を止めたらどう?」[/A]
崩れた壁の上の暗がり。ミハルが冷たい視線を投げ下ろしている。彼女の指先には、まだ血の乾かない刃が握られていた。
[A:シオン:絶望][Shout]「黙れっ!」[/Shout][/A]
銃口が跳ねる。[Flash]火線。[/Flash]
しかし、遅い。
レイは銃弾を避けることすらしない。ただ真っ直ぐに、シオンの胸ぐらへと手を伸ばした。
[Impact]鈍い音。[/Impact]
シオンの体が、無残にも煉瓦の壁へと打ち付けられる。
息が止まる。
肺から空気が搾り出され、咳き込むシオン。
[Think]……ああ、脆い。こんなにも簡単に、壊れてしまう。[/Think]
レイは無表情のまま、その細い首に指を這わせた。
脈打つ命の感触。[Pulse]トクン、トクン、と急き立てるような血の奔流。[/Pulse]
[Sensual]
薄暗い路地裏。舞い散る灰が、二人の吐息を白く染める。
[A:シオン:恐怖][Whisper]「……いや、やめて……っ」[/Whisper][/A]
懇願する唇。しかし、その瞳の奥には隠しきれない熱が燻っていた。
レイの指先が、首筋から鎖骨へと滑り落ちる。[Heart]高鳴る心音[/Heart]が、レイの指を火傷しそうなほどに熱く焦がす。
[A:レイ:愛情][Whisper]「……綺麗だ。お前は、絶望している時が一番美しい」[/Whisper][/A]
視界の端で、[Blur]世界がぐらりと歪む。[/Blur]
シオンは抗うことをやめた。痙攣するように身をよじり、レイの冷たい外套をきつく握りしめる。
熱い吐息が交じり合う。
血と灰の味がした。
肺の奥が焼け焦げるような感覚。脳内を這い回る[Glitch]ノイズ[/Glitch]。
視界が激しく明滅し、シオンの意識は深い泥の底へと沈んでいく。
[/Sensual]
ミハルはただ、その光景を無言で見つめていた。
[A:ミハル:冷静]「……狂ってるわね、二人とも」[/A]
救いなどない。
この焼け落ちた街で、生き残る意味すらとうに失われた。
それでも、泥に塗れた互いの体温だけが、唯一の真実だった。
永遠に続く地獄の中で、歪な愛だけが静かに根を下ろしていく。