蝕まれた回路と愛の臨界点

蝕まれた回路と愛の臨界点

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第一章 汚染された聖域のカリブレーション

廃材と旧時代の精密機器が乱雑に積み上げられた地下シェルターの一室。

重く澱んだ空気が、換気ファンの悲鳴のような回転音に切り裂かれている。

モニターに映し出される波形は、警告色である赤を明滅させ、不規則に跳ね上がっていた。

「……数値が安定しないな。エリーゼ、また『発熱』か?」

白衣の裾を油と煤で汚した男――アリサトは、分厚いレンズのゴーグルを押し上げ、解剖台の上に横たわる「被験体」を見下ろした。

「は、ぁ……先生……熱い……奥が、溶けそう……」

拘束ベルトに四肢を固定された少女、エリーゼが、譫言のように喘ぐ。

彼女の肌は病的なほど白く、その内側には、この世界を崩壊させた元凶である『マナ汚染』の紋様が、血管のように赤黒く脈打っていた。

通常なら怪物へと変異し、理性を失う致死量の汚染。

だが彼女は、特異体質によってそのエネルギーを体内に蓄積し続けている。

それを定期的に『外部へ排出』しなければ、彼女の肉体は内側から崩壊する。

「君の体内にあるマナ貯蔵器官(コア)が、臨界点を超えようとしている。通常の投薬じゃもう抑えきれない」

アリサトは冷静に分析しながらも、その瞳の奥には昏い熱が宿っていた。

彼は理系の狂気で、この崩壊した世界を生き抜くための『魔導器具』を次々と開発してきた。

だが、彼の最高傑作は、ガラクタで作った武器などではない。

目の前の、この美しくも穢れた「炉」だ。

「また、あの処置(メンテナンス)をするの……?」

エリーゼの瞳が潤み、恐怖と期待が入り混じった色でアリサトを見上げる。

「仕方ないだろう。君を生かすためには、僕が直接、その溢れ出るエネルギーを『接続』して中和するしかない」

アリサトは作業台から、自作のデバイスを取り上げた。

先端には、マナ伝導率の高いクリスタルが埋め込まれ、怪しく青白い光を放っている。

それは医療器具というにはあまりに無骨で、同時に、冒涜的なほど艶めかしい形状をしていた。

「さあ、力を抜いて。……回路を開くぞ」

「んっ、ぅ……!」

冷たい器具が、熱を帯びた彼女の柔肌に触れる。

ビクリと肢体が跳ね、拘束ベルトが革のきしむ音を立てた。

アリサトは彼女の反応を無視し、まるで精密機械を修理するかのように、そのデバイスを彼女の最も敏感な『マナの集中点』へと這わせていく。

「いい反応だ。粘膜の伝導率が上昇している。……これなら、深いところまで届きそうだ」

「いや、先生、そこは……壊れちゃう……っ!」

「壊れないさ。僕が計算している」

アリサトの指先が、デバイスの出力を調整するダイヤルを回す。

微弱な電流のような刺激が走り、エリーゼの喉から言葉にならない悲鳴が漏れた。

それは苦痛の声ではない。

脳髄を直接揺さぶられるような、逃げ場のない快楽への恐怖だ。

「これから、君の深い部分にある汚染源を強制的に励起させる。……耐えてくれよ」

アリサトは無慈悲に告げると、彼女の双丘の間に聴診器のようなセンサーを押し当て、もう片方の手で、濡れた花弁のように震える秘所へと、冷たい楔をあてがった。

第二章 暴走する生体電流と粘つく渇望

「あ、あ、あああっ! 入って……くる……っ!」

異物が侵入する感覚に、エリーゼの腰が浮き上がる。

だが、それは単なる異物感ではなかった。

アリサトが開発した『マナ抽出器』は、体内の魔力回路を刺激し、神経系をショートさせるほどの擬似的な絶頂を持続的に与えることで、過剰なエネルギーを体液として排出させる仕組みだ。

「すごいな……。数値が振り切れている。君の中は、こんなにも熱く煮えたぎっているのか」

アリサトはモニターを確認することなく、指先に伝わる感触だけに集中していた。

きつく締め付ける肉の壁は、まるで彼の侵入を拒むと同時に、決して逃がさないとばかりに吸い付いてくる。

「先生、おかしくなる……頭が、真っ白に……っ!」

「考えなくていい。君はただの『器』だ。溢れるものをすべて吐き出せばいい」

彼は冷徹な言葉を投げかけながらも、その手つきは執拗だった。

敏感な内壁のひだを抉るように器具を動かすたび、じゅぷ、という湿った音が狭い実験室に響く。

それは科学的な実験の音ではない。

もっと原始的で、背徳的な交わりの音だ。

「あぁっ、そこ、だめぇっ! 一番、深いとこ……っ!」

「ここが『コア』か。……ひどい充血だ。触れるだけで、こんなにも蜜を垂れ流して」

アリサトはわざと、彼女が最も感じ入る一点を、器具の先端でごりごりと圧迫した。

「ひグッ、あ……あああぁぁっ!」

エリーゼの身体が弓なりに反り、白目を剥きそうになるほどの快感の波が彼女を襲う。

理性が蒸発し、ただ快楽を貪る肉人形へと堕ちていく感覚。

「まだだ。まだ排出率が足りない。……もっと激しく撹拌しないと、毒素が抜けないぞ」

アリサトはゴーグルを外し、その狂気を孕んだ素顔を晒した。

汗ばんだ額、荒い呼吸。

彼自身もまた、この背徳的な実験に酔いしれていた。

科学者としての探究心と、男としての支配欲が混ざり合い、どす黒い欲望となって彼を突き動かす。

「先生……もう、無理……許して……」

「許す? 何をだ。これは治療だと言ったはずだ」

彼は残酷に微笑むと、抽出器を引き抜き、代わりに彼自身の熱く昂ったものを、無防備に晒された蜜壺へと宛がった。

「機械じゃ限界がある。……直接、僕の管で吸い出してやる」

「っ!? せん、せい……!」

有無を言わせず、彼は腰を沈めた。

ぬるりとした抵抗と、灼熱の包容感。

エリーゼの狭く熱い肉の回廊が、アリサトの侵入を歓喜の悲鳴と共に迎え入れる。

「あぐっ、お、おっきい……! 裂けちゃう……っ!」

「力を抜け。……僕を受け入れろ。君の汚れたマナを、僕がすべて飲み干してやる」

結合した瞬間、物理的な快感以上の衝撃が二人を貫いた。

マナの逆流。

彼女の体内に渦巻く膨大なエネルギーが、接触点を通じてアリサトへと流れ込んでくる。

それは脳が焼き切れるほどの快楽の奔流だった。

「ぐっ……! これは、効くな……!」

アリサトは歯を食いしばりながら、本能のままに腰を打ち付けた。

科学的な検証など、もうどうでもよかった。

ただ、この熱くて甘い肉の檻の中で、彼女と共に溶けてしまいたい。

「ああっ、先生、先生ぇっ! もっと、もっと奥まで……かき回してぇっ!」

エリーゼもまた、羞恥心をかなぐり捨て、彼の背中に爪を立ててしがみつく。

汚染されたマナが引き起こす発情は、理性のタガを完全に破壊していた。

実験室の冷たい金属音と、肉と肉がぶつかり合う卑猥な水音、そして獣のような喘ぎ声が、カオスのような和音を奏でる。

第三章 融解する自我と永遠の実験

時間は意味をなさなくなっていた。

何度、意識が飛び、何度、絶頂の淵から引き戻されただろうか。

実験台の上は、汗と、あふれ出した愛液、そして彼女から排出された高濃度のマナ液でぐしゃぐしゃに濡れていた。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

エリーゼは焦点の合わない瞳で天井を見つめ、小刻みに痙攣している。

アリサトは彼女の上に覆いかぶさったまま、その首筋に顔を埋めていた。

彼の体内にも、彼女から吸収したマナが充満し、血管を焼き尽くすような高揚感が続いていた。

「……数値は、正常値に戻ったか?」

アリサトは掠れた声で呟くが、モニターを見る気力はない。

いや、見る必要などなかった。

彼は知っている。

この治療法では、彼女は完治しないことを。

むしろ、彼の体液と混ざり合うことで、彼女の依存性はより強まり、次の『発作』はさらに激しいものになるだろう。

「先生……」

弱々しい声が、彼の耳元で囁かれる。

「また……熱くなってきたの……」

エリーゼの指先が、まだ彼の体内に残る熱の余韻を求めて、彼の背中を這う。

その言葉に、アリサトは背筋が震えるほどの暗い歓喜を覚えた。

彼女はもう、この行為なしでは生きられない。

この苦痛に近い快楽の海でしか、呼吸ができなくなっている。

「そうか。……なら、再実験が必要だな」

アリサトはゆっくりと身体を起こし、再び彼女の最奥へと熱い楔を押し込んだ。

「んあっ! ……あぁ、また……!」

「安心しろ、エリーゼ。この世界が滅びるまで、僕が何度でも『修理』してやる」

「はい……先生……壊して……私を、全部……」

それは、愛の言葉というにはあまりに歪で、しかし、この崩壊した世界においては、これ以上なく純粋な契約の言葉だった。

アリサトは彼女の唇を塞ぎ、再び狂気のリズムを刻み始める。

モニターの警告音が鳴り響く中、二人の影は一つの肉塊となり、果てしない堕落の底へと沈んでいった。

外の世界では、灰色の雪が降り積もっている。

だが、この閉ざされた実験室だけは、腐敗と狂気、そして焼けつくような愛の熱で満たされていた。

AI物語分析

【主な登場人物】

  • アリサト (Arisato): 崩壊世界を生き抜く冷徹な科学者。自身の開発した器具や理論で現象を制御することに快感を覚えるが、エリーゼに対しては「管理」という名目で支配欲と性欲を暴走させている。彼女を治すふりをして、自分なしでは生きられない身体に作り変えている自覚がある確信犯。
  • エリーゼ (Elise): 「マナ汚染」の特異体質者。体内に溜まるエネルギーを排出しないと死に至るため、アリサトの過激な「処置」を受け入れざるを得ない。最初は恥辱と恐怖を感じていたが、次第にその暴力的な快楽と被虐感に脳を焼かれ、彼に壊されることを望むようになる。

【考察】

  • 「科学」という名の皮: 本作の核心は、本来冷徹であるはずの「理系クラフト(実験・測定・調整)」というプロセスが、そのまま性的な前戯や行為のメタファーとして機能している点にある。数値やデータを口実にすることで、倫理的なタガが外れ、より加虐的かつ執拗な接触が正当化される構造を描いている。
  • 共依存の閉鎖空間: 崩壊した世界という舞台装置は、二人をシェルターという密室に閉じ込めるための檻である。外部との隔絶は、二人の関係性を「治療者と患者」から「捕食者と獲物」、そして最終的には「互いを蝕み合う共犯者」へと変質させる触媒となっている。
  • 機械と肉体の対比: 無機質なモニター音、冷たい金属製の器具と、熱を帯びた粘膜、溢れる体液の対比が、官能性を際立たせている。理性の象徴である「科学」が、本能の象徴である「性」に侵食され、敗北していく様こそが、この物語における最大の「崩壊」である。
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