第一章: 嵐の檻、冷たい蜜
窓を叩く雨粒。それは逃げ場を失った私の心臓が刻む、不規則なリズムそのものだった。
別荘の窓に映る自分の姿――濡羽色の黒髪、色素の薄い瞳、夫好みの純白――が、稲光の瞬きと共に亡霊のごとく浮かんでは、闇に溶ける。私は窓枠に手をかけ、冷え切ったガラスに額を押し付けた。
[Think](……行ってしまった。本当に、私を置いて)[/Think]
荒れ狂う嵐の孤島。船着き場から遠ざかる一艘のボート。そのエンジン音すら、轟音をあげる風にかき消されていく。「急なトラブルだ」と言い捨て、私を見ることもなく逃げ去った夫、雨宮隆文。残されたのは、この広大な洋館と私。そして――彼の義弟だけ。
背後で響く、重厚な革靴の音。カツ、カツ。正確無比なメトロノームのように。
[A:京介:冷静]「兄さんは臆病だな。この嵐の中、君のような美しい妻を置いていくとは」[/A]
振り返れば、そこには西園寺京介。
チャコールグレーのスリーピーススーツを隙なく着こなす立ち姿は、彼が世界的な脳外科医であることを無言のうちに物語る。銀縁眼鏡の奥、切れ長の瞳。それは標本を観察するように冷ややかで、同時に私の肌の奥底までをも穿つ鋭さを秘めていた。
[A:美月:恐怖]「京介さん……あの、隆文さんはいつ戻るのでしょうか……?」[/A]
[A:京介:冷静]「さあね。通信も切れた。今、この島は世界から切り離された密室だよ」[/A]
直後、轟音と共に落雷。洋館の照明が命を失う。
[Shout]きゃあっ![/Shout]
闇の中、身をすくませた私の腕を掴む、氷のような指。悲鳴をあげる間もなく、口元に押し当てられた布。苦い液体が、強制的に喉を滑り落ちていく。
[A:美月:混乱]「ごほっ、な、何を……!?」[/A]
[A:京介:冷笑]「鎮静剤だよ。パニックを起こさないようにね。……兄さんは君を僕に預けたんだ。『好きにしていい』とね」[/A]
[A:美月:驚き]「え……?」[/A]
言葉の意味を脳が咀嚼するより早く、歪み始める視界。床は泥のように柔らかく、膝から力が抜けていく。京介の腕の中に崩れ落ちた私の体、その芯が、意思とは裏腹に熱を帯び始めていた。
夫は、最初から知っていたの? 私をこの男に……譲渡するために?
[Sensual]意識の端、京介の整った指先が私の顎を持ち上げる感触だけが鮮烈に残る。[Heart]ドクン、と脈打つ頚動脈。彼が親指で、愛おしそうにそこを撫でた。[/Heart][/Sensual]
[A:京介:狂気]「さあ、診察を始めようか。美月さん」[/A]
◇◇◇
第二章: 氷点下の指先、沸騰する血液
奪われた視界。
停電の闇か、それとも薬の作用か。目を開けているはずなのに、世界は漆黒の膜に覆われている。その代償として、異常なまでに研ぎ澄まされる聴覚と触覚。衣擦れの音、雨の音、そして自身の荒い呼吸音が、鼓膜を直接揺らす大音量となって響く。
横たわるのは、書斎の革張りソファ。抵抗など不可能。筋肉は弛緩しきっているのに、神経だけが剥き出しにされたかのような感覚。
[A:京介:冷静]「脈拍120。体温上昇。……いい反応だ」[/A]
耳元で囁かれる低音の振動。それは背骨を駆け抜ける電流となり、全身を甘く痺れさせる。
カチャリ。金属が触れ合う音。
[Sensual]ひやりとした冷たい円盤――聴診器が、胸元の開いた布地の隙間から滑り込んでくる。
[A:美月:興奮]「あっ……!」[/A]
熱く火照った肌に吸い付く、氷のような金属。その温度差が鋭い刺激となって、胸の奥から背徳的な痺れを引き出した。
円盤はふくよかな膨らみをゆっくりと登り、心臓の真上で止まる。[/Sensual]
[A:京介:興奮]「激しい音だ。……君の心臓は、夫の前でもこんな風に鳴くのかい?」[/A]
[A:美月:悲しみ]「やめ……て……私は、隆文さんの……妻、です……」[/A]
[A:京介:冷静]「口ではそう言うけれど、体は正直だね」[/A]
聴診器が退く。代わって這うのは、彼の手そのもの。
外科医特有の、乾燥した冷たい指先。太ももの内側、一番柔らかい場所をなぞり上げられた瞬間、私は声にならない喘ぎを漏らし、背中を弓なりに反らせた。
[Sensual]直接的な行為は何もない。ただ、敏感なツボを的確に、執拗に、冷たい指で圧迫されるだけ。それなのに、秘所はすでに蜜で溢れ、下着のシルク地をじっとりと濡らしていた。[Heart]もう、だめ……何かが壊れる……![/Heart][/Sensual]
[A:京介:囁き]「君の本当の持ち主は誰か、体に教え込もう。脳の髄まで書き換えてあげるよ」[/A]
京介の指が、薄い布越しに私の最も感じる場所――熱を帯びた花芯を、優しく、残酷なほどゆっくりと弾いた。
[Shout]ひいぃっ![/Shout]
理性の壁が、音を立てて削り取られていく。この快楽は毒だ。けれど、その猛毒を飲み干したいと願う自分がいることに、私は戦慄していた。
◇◇◇
第三章: 硝子越しの視姦者
薬効が薄れ、視界がぼんやりと戻る。そこで気づいた、書斎の異変。
京介の気配は遠のき、デスクの向こう側で優雅にグラスを傾けている。そして、スライドした本棚の奥。そこには無数のモニターが青白い光を放っていた。
[A:美月:混乱]「あれは……何……?」[/A]
ふらつく足取りで近づき、息を呑む。
モニターに映っていたのは、今の私。乱れた衣服、紅潮した頬、あられもない姿でソファに横たわる痴態。
そして、画面の隅にある小さなワイプ画面。そこには、見覚えのある小太りの男が映っていた。
夫、隆文。
安全なホテルのような場所。ヘッドフォンを装着し、画面を食い入るように見つめる男。その顔は醜く歪み、脂汗を浮かべ、自身の下腹部を激しく扱いている。
[Think](嘘……うそよ……)[/Think]
[A:隆文:興奮]「いいぞ美月……もっと鳴け……そのだらしない顔を俺に見せろ……!」[/A]
モニターから漏れる夫の声。それは愛などではない。私を「モノ」として消費する、底知れぬ欲望の吐露。
足元から床が崩れ落ちるような感覚。私が信じ、尽くしてきた貞淑な妻としての「正しさ」は、彼にとってはただの性癖のスパイスでしかなかったのだ。
[The Drop:絶望]
膝から崩れ落ちた私の肩に、置かれる京介の手。
[A:京介:同情]「残酷だろう? 兄さんにとって君は、愛する妻じゃない。僕に犯され、乱れる様を見て興奮するための『生きた人形』なんだ」[/A]
[A:美月:絶望]「ああ……あぁぁ……!」[/A]
涙すら出ない。ただ、胸の奥で何かが黒く焼け焦げていく。夫への信頼、愛、倫理観――すべてが灰と化す。
私の前に跪く京介。悪魔のような、しかし抗いがたいほど美しい笑み。
[A:京介:誘惑]「選ぶんだ、美月。兄の玩具として壊されるまで搾取されるか。それとも――僕の『共犯者』になって、あの男の脳を破壊するほどの快楽を見せつけるか」[/A]
彼は私の乾いた涙を指で拭い、その指を私の唇に押し当てる。
[A:京介:命令]「復讐したいだろう? 君を裏切った豚に」[/A]
私の中で、何かがプツリと切れた。
貞操? 倫理? そんなものはもういらない。今の私にあるのは、自分を貶めた夫への昏い復讐心と、目の前のこの美しい悪魔への、どうしようもない依存心だけ。
震える手で、京介のネクタイを掴む。強く、引き寄せた。
◇◇◇
第四章: 雷鳴と背徳のシンフォニー
[System]警告:精神汚染レベル最大。倫理規定崩壊。[/System]
世界を白と黒の明滅に染め上げる、轟く雷鳴。
私は窓際に立たされていた。ガラスの向こうは嵐。そして、部屋の隅にあるカメラのレンズが、赤いランプを灯してこちらを凝視している。その向こうにいる夫に見せつけるように、私は自ら衣服をたくし上げた。
[A:京介:命令]「そうだ、いい子だ。カメラを見て。兄さんに『今の君』を見せてあげなさい」[/A]
[Sensual]背後から伸びる京介の手。露わになった太ももを割り開く指先は、冷たさなど微塵もなく、私の体温と愛液で熱く濡れていた。
[A:美月:狂気]「あっ、あぁっ……京介さん……もっと……!」[/A]
剛直な熱い塊が、濡れそぼった蜜壺の入り口を強引にこじ開ける。[Heart]狭い空洞が悲鳴を上げ、同時に歓喜に震える矛盾。[/Heart]
ズプ、ヌゥッ……!
最奥まで楔が穿たれた瞬間、私は白目を剥きかけ、窓ガラスに爪を立てた。[/Sensual]
もはや、これは愛ではない。暴力的なまでの快楽の共有。
夫が見ている。その事実が、かつてないほどの興奮を脳髄に送り込む。
[A:美月:狂気]「見て……隆文さん……! 私、こんなに……あぁ……! あなたじゃ届かない奥まで……京介さんに……!」[/A]
[A:京介:サド]「ははっ、聞こえるかい兄さん? 美月さんは僕のモノだ。君の指一本触れさせないほど、僕の形に書き換えてやる」[/A]
激しさを増す腰打ち。パンッ、パンッ、と肉と肉がぶつかり合う卑猥な音が、雷鳴と重なり合う。
首筋に牙を立てられ、獣のように喉を鳴らす彼。
痛い。苦しい。でも、気持ちいい。
脳が溶ける。脊髄が焼き切れる。
[A:美月:狂気][Sensual]「いく……っ! いっちゃう、壊れるぅぅ!!」[/A]
彼が一番深い場所、子宮口をノックするたびに、私は制御不能な痙攣を起こし、涎を垂らしながら絶叫した。
視界が真っ白に弾ける。
私の胎内を、彼の熱い白濁がドクドクと脈打ちながら満たしていく。[/Sensual]
[Shout]あぁぁぁぁぁぁぁッ――!!![/Shout]
その瞬間、私はカメラの向こうの夫のことなど忘れ、ただ目の前の男の名を叫び続けていた。
私たちの汗と体液が混じり合い、床に滴り落ちる。それは、私たちが「共犯者」となった契約のインク。
◇◇◇
第五章: 幸福な首輪
嵐は去った。
あるのは、残酷なほど穏やかな朝。陽光差し込むリビングで、私は紅茶を淹れていた。
玄関のドアが開き、疲れ切った顔の隆文が入ってくる。充血した目。どこか怯えたような視線。
[A:隆文:動揺]「あ、ああ……美月。無事、だったか……?」[/A]
[A:美月:愛情]「ええ、お帰りなさい、あなた。京介さんに……とても『良く』していただきましたわ」[/A]
完璧な笑顔での出迎え。清楚な装い、整えられた黒髪。
しかし、隆文はビクリと肩を震わせ、視線を泳がせた。彼には見えているのだ。昨夜の映像が。私が京介に抱かれ、夫を罵りながら果てたあられもない姿が、網膜に焼き付いている。
リビングのソファ。そこには京介が優雅に足を組んで座っていた。
彼が手元のカップを持ち上げ、ソーサーにカチャリと戻す。乾いた音。それは、私たち二人だけの合図。
[Think](合図だわ)[/Think]
その瞬間、条件反射のように太ももの内側が熱くなり、子宮がきゅっと収縮した。
見えない首輪。昨夜の「治療」によって脳髄に植え付けられた、京介の暗示。
私は夫の隣に座りながら、テーブルの下でそっと膝を開いた。
[A:京介:微笑]「兄さん、美月さんは本当に素晴らしい妻だ。……これからも、僕が定期的に『メンテナンス』をしてあげよう」[/A]
[A:隆文:屈服]「あ……ああ、頼む……頼むよ、京介……」[/A]
青ざめた顔で頷く夫。彼はもう、私に指一本触れる勇気すらないだろう。
私は紅茶を一口含み、カップの縁越しに京介と視線を絡ませる。
夫の隣で、私は京介のもの。
この秘密の背徳感こそが、これからの私の日常であり、至上の幸福。
[Sensual]誰も見ていない隙に、口元を歪めて京介に舌先を少しだけ見せる。[Heart]私の体はもう、貴方の指先がないと生きていけない――。[/Heart][/Sensual]
処方箋は『絶対服従』。
私は、幸福な籠の鳥として、この男の手の中で一生を終えるのだ。